【ハイラックスも】トヨタの功労者「IMV」とは? 販売台数世界一を支える
「世界一」はごく最近のこと
text:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ) editor:Taro Ueno(上野太朗) 【写真】IMVシリーズ【3兄弟をみる】 (170枚) 「世界一の販売台数を誇る」というトヨタのイメージは、実のところ、それほど古いわけではない。 トヨタが年間自動車販売台数「世界一」に初めてなったのは2008年であった。リーマンショックで世界中の自動車メーカーが大打撃を受けた直後だ。 それ以前は77年間もGMが、まさに不動の世界一の座を守っていた。つまり、トヨタが世界一を争うようになったのは、ここ最近10年のことなのだ。 トヨタの販売台数世界一までの道程の歴史を振り返ると、2000年代にとくに急成長を遂げたことがわかる。 トヨタの自社サイト「トヨタ自動車75年史」の「海外販売台数の推移」を見ると、1977年の時点でトヨタの海外の販売比率は52%にも達していた。その数字が60%を超えるのは1998年のこと。10%を高めるのに20年もかかっていた。 ところが2000年代になると、すぐに海外販売比率はすぐに70%を超え、2000年代後半には80%にも達してしまう。 販売台数でいえば、1999年の海外販売台数305万8060台が2008年には652万6059台にもなる。つまり10年も経たずに、海外販売比率を20%も高め、海外販売台数を2倍にまで増やした。まさに急成長といえる。 その2000年代のトヨタの急成長を支えた功労者の1つが「ハイラックス」を含む「IMVシリーズ」であった。
「IMVシリーズ」とは?
「IMVシリーズ」とは、「IMVプロジェクト」から生まれた3モデルを指す。 具体的にはピックアップトラックの「ハイラックス」とSUVの「フォーチュナー」、ミニバンの「イノーバ」だ。 さらに「ハイラックス」には3種のボディバリエーションもある。2ドアのシングルタイプ、2ドアで4座のエクストラタイプ、4ドア4/5座のダブルタイプの3種。 もちろんすべてピックアップトラックとなる。名称は地域によって微妙に異なり、「ハイラックス」は「ハイラックス・ヴィーゴ」、「フォーチュナー」は「SW4」、「イノーバ」は「キジャン・イノーバ」という名称も使われている。 そして「IMVプロジェクト」とは2002年に発表されたトヨタの計画だ。 「IMV」は「Innovative International Multipurpose Vehicle」の略。トヨタの海外生産拠点を結びつけ、世界最適の開発だけでなく調達と生産を追求し、競争力を高める。 具体的には、アセアン、南米、南アフリカでクルマを生産し、グローバルに販売する。海外市場専用車を、海外のみで国際分業するという仕組み。 日本で生産しないというのが特徴。メイド・イン・ジャパンではなく、メイド・イン・トヨタのクルマとなる。