【50代に絶対読んで欲しい本】ハッとするような言葉に出会う5冊
『悲しみの秘義』
若松英輔 文春文庫 ¥825 人生の困難に直面したとき私たちは、もがき、苦しみ、うめく。 悲痛に打ちのめされて、身動きができなくなる。(中略) そこから抜け出すために、さまざまなことを試みる。 そんなとき人は、無意識に言葉を探す。(中略)わらをもつかむ思いで探すのは言葉なのである。――『悲しみの秘義』 宮沢賢治、須賀敦子、リルケ、プラトン、ユングらの、死者や悲しみ、孤独について書かれた文章を読み解き、人間の絶望と癒しをそこに見出す26編。「若松英輔さんは、私にとっては学校の先生のようにいろんな教えを授けてくださいます。私の母は’20年に病死しましたが、本書には若松さんが奥さまを亡くされたときのことが書かれています。大切な人を亡くす、というところで重なる心情がありました」(中江有里さん)。
『自分の中に毒を持て〈新装版〉』
岡本太郎 青春文庫 ¥814 よく、あなたは才能があるから、岡本太郎だからやれるので、凡人にはむずかしいという人がいる。そんなことはウソだ。やろうとしないから、やれないんだ。それだけのことだ。もう一つ、うまくやろう、成功しようとするから、逆にうまくいかない。――『自分の中に毒を持て〈新装版〉』 芸術家・岡本太郎さんが記したロングセラーの人生論。“常識人間”を捨て、興奮と喜びに満ちた自分でいるための生き方を説いている。「私が岡本太郎さんを好きだということもありますが、この本を何度も読み返してしまうのは、“ぶれないすごみ”を感じたいから」(青木さやかさん)。
取材・原文/吉川明子 ※エクラ2024年10月号掲載