これはヤバイ「森失言」で五輪ボランティア消滅危機
失言が止まらない。 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が3日に開かれた日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会っていうのは時間がかかります」などと言い放ち、またしても世間を唖然とさせた。 この森会長の発言はJOCが女性理事の割合を全体の40%以上にする方針を掲げていることを受け、私見として口にしたものである。 ■ 失言に次ぐ失言 会議の模様はオンライン形式となっており、多くのメディアにも公開されていた。森会長は「これはテレビ(オンライン)があるからやりにくいんだが」と前置きしながらもすぐさま“リミッター”が外れてしまい、冒頭の失言へとエスカレート。「女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさく言うんですよね。だけど、女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」と断言した。 さらに自身が2005年から2015年の長きにわたって会長の座に就いていた日本ラグビーフットボール協会を例に挙げつつ「(自分がいた頃と比べて)今までの倍時間がかかる。女性(理事)がなんと10人くらいいるのか? (実際には)今、5人? 10人に見えるな」と小ばかにするかのような舌鋒を向け、女性蔑視ととらえられかねない問題発言を繰り返した。
その後も「女性っていうのは競争意識が強いんです。誰か1人が手をあげて言うと、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです。前の発言に関連したものではなく、思いのままに」と一方的な持論を展開。 どういうわけか出席していたJOC評議員のメンバーからも笑いが飛び出す中、これに勢いづいた森会長は「女性の数を増やす場合には発言時間をある程度規制しないと、なかなか終わらないで困る。組織委員会にも(女性が)7人ぐらいおりますが、皆さんわきまえておられて、競技団体からのご出身であり、国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりですから、お話もシュッとして、的を射た(女性たち)。そういう(女性を選んでいる)我々は非常に役立っておりますが。次は女性を選ぼうと、そういうわけであります」などと話し、最後は組織委の“正当性”までアピールしながらかなり強引な形で締めていた。 ■ 「問題は世論がどう五輪を考えているか」 前日2日に森会長は自民党のスポーツ立国調査会と2020年オリンピック・パラリンピック東京大会実施本部の合同役員幹部会にも出席している。この場においても冒頭のあいさつで、新型コロナウイルスの感染拡大によって今夏に延期となった東京五輪の開催にあらためて強い意欲を示し「我々は必ずやる。やるかやらないかではなく、どうやってやるのか、新しい五輪を考えよう」と訴えた。複数の主要メディアによる最近の世論調査では大会の中止や再延期を求める声が約8割を占める現状となっているにもかかわらず「一番大きな問題は世論がどういうふうに五輪を考えているか」とけん制し、コロナ禍に苦しむ国民の窮状には目もくれず強硬開催へ突っ走る姿勢をみせた。 この翌日に序盤でも詳しく触れた女性を蔑むような暴言を吐いたことで、森会長には自らの意のままにならない人たちをこれでもかとばかりに糾弾して罵るというスタンスがまたしても露になった格好だ。こんな危なっかしいトップが「どうやってやるのか、新しい五輪を考えよう」と声を大にしても私利私欲のために扇動しようとしているとしか思えず、大半の“身内”ですらも付いていけなくなるのは当たり前である。