消えるデパートと生き残るデパート、その違いは
日本もそうですが、アメリカではデパートや小売店の衰退がコロナパンデミック以前から顕著となり、コロナ禍で拍車が掛かりました。その理由としてオンラインショップの存在が挙げられます。確かにAmazon(アマゾン)のような超大手eコマースの影響は大きいです。しかし理由はそれだけではないようです。 古き良き時代のデパートの没落の背景と、最近話題の新時代のデパートの姿とは?
デパートが消えていく…!
20世紀のアメリカでは増加する中間所得層をターゲットに、”Macy's”(メイシーズ)のような庶民向けのデパートが「アメリカンドリーム」をイメージする物品を提供することで人気を集めるようになりました。 かつては富裕層しか持てなかった物品が、大量生産によって値段が下がり、このようなデパートを通して中間層にも手が届くようになったのです。 しかしここ20年間、庶民向けのデパートだけでなく、高級デパートですら経営難で閉店を強いられ、それに伴い郊外のモールが次々閉鎖されています。
中間層の縮小が影響?
ニュース解説メディアVox-recodeの“The death of the department store and the American middle class”(アメリカのデパートと中間層の没落)という記事(※1)では、衰退の理由の1つに、中間層が縮小している事を挙げています。2007年の経済危機以降、所得の成長は高所得者に向けられ格差が広がり中間層が縮小しています。 そして中間層以下の消費者は、デパートで定価で買うよりも少しでも安く買えるアウトレットや”T.J.Maxx”(TJマックス)などのブランド品をディスカウント価格で提供する店で掘り出しモノを見つける消費スタイルを好んでいます。 日本でも百貨店の売り上げが落ちる一方で、ワークマンのような庶民向けの手頃な値段で実用的なモノを販売する小売店が売り上げを延ばしています。
消費者の世代交代…「D2C」が人気
また、主要購買層がデジタル世代といわれるミレニアルズやZ世代に世代交代していることも大きく影響しているようです。 最近はブランド各社が自社のサイトやSNSのプラットフォームを通し新商品を紹介したり、トレンド商品を直接顧客に販売するD2C(Direct-to-Consumer)というリテールを通さない販売モデルが若者を中心に人気を集めています。 かつて、デパートは最新の商品を紹介する唯一の場所でもありました。買わずとも目新しいモノを見ようとやってくる人達でデパートは賑わいました。今は、わざわざデパートに足を運ばなくても手元のスマートフォンで新商品の情報や評判を簡単に集めることができ、タップするだけで注文、数日後には手元に届いてしまいます。