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今、大阪のガールズバンドがアツい カネヨリマサル、FiSHBORN、ヤユヨ……個性的な楽曲で勢い増す3組

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リアルサウンド

 ここ数年でガールズバンドのシーンは変わってきた。“女性らしいロック”が、“男性にはできないロック”というオリジナリティに昇華されたように思う。“ガーリー”、“キュート”、“セクシー”、といった表面的な“女性らしさ”ではなく、内面的な女性ならではの気持ちを吐露していくバンドが増えている。女性によるロックやバンドがリアルになったのだ。どこか男性優位のロックシーンにおいて、この変化は大きいことだと思っている。(参考:Hump Back、TETORA、東京初期衝動、BRATS……圧倒的なフロントマン擁する、次世代担う女性バンド)  少し言い方を変えれば、“日常を切り取ったガールズロック”の周知だ。背伸びをするとか、他人からよく思われたいだとか……、そういった理想の自分ではなく、ありのままの自分でいることを高らかに歌うバンドのことである。  yonige、Hump Back、TETORA……そうした飾らない気持ちを歌い、多くのリスナーの心を掴んでいるガールズバンドは不思議と大阪出身が多い。それが地域性によるものなのかはわからないのだが、「今、大阪のガールズバンドがアツい」のは確かである。そうした大阪出身の、今注目しておきたい新進気鋭のガールズバンドを3組、紹介していきたい。

カネヨリマサル:幼さを感じる歌声に隠れたバンドの特異性

 どこか幼さを感じる澄んだ声。歯切れが良いわけではないのに言葉がきちんと届いてくる不思議な声。ファルセットや高音の抜け方と時折見せる語尾のかすれ具合にドキッとする。  ちとせみな(Vo/Gt)の歌は「私の歌を聴いてほしい」だったり「届けたいメッセージがある」などといった強いものではない。ただ独り言のように自分の思ったことを歌にしている。何が言いたいのか読み解いてみても、それほど大きな意味はないのかもしれない。しかしながら、その“普通”の言葉のひとつひとつが日常的なものであり、女性の持つ複雑な心模様を表しているように思える。   3人のアンサンブルは的確に楽曲を捉えている。もりもとさな(Dr)の精確なリズム、派手さはないが耳に残る印象的なラインを紡ぐ、いしはらめい(Ba)。シンプルながらも時折ハッとさせられるアレンジ。「もしも」をはじめとした楽曲で見られる、間奏のギターとベースが掛け合っていく絡みは自然に見せながらも個性的。ギターのゆるやかなフレーズにまとわりついていくようなベース、互いのボイシングの探り合いに、カネヨリマサルというバンドの特異性を垣間見る。サビ始まりの「はしる、夜」。この手の楽曲構成といえば、ドアタマで掴んでから一旦前奏に入り、仕切り直すのがロックバンドの常套句である。しかしながらこの曲は、サビ始まりからそのまま平歌に突入するという、斬新で大胆不適な展開で攻めてくる。こうした稀有なアレンジは、確信犯的なものなのか、はたまた自然にやっているだけなのか。どちらにせよ、ただならぬ才気とポテンシャルを感じざるを得ない。  印象的なバンド名は、多くの人が思ったであろう「金より勝る」ではなく、「姓:カネヨリ 名:マサル」という語感で決めただけの架空の人物名だそうで、特に深い意味はないという。あまり深読みすると“負け”てしまいそうな、無自覚のナチュラルガールズバンドなのかもしれない。

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