山写真からこの夏の行き先を決める!北アルプス 私のベストルート
【ルート2】槍ヶ岳を、西鎌から、東鎌から、ぐるりとまわる4 泊5 日の縦走路
高瀬ダム→烏帽子小屋(泊)→野口五郎岳鷲羽岳→三俣山荘(泊)→三俣蓮華岳→槍か岳~殺生ヒュッテ(泊)→西岳→大天荘(泊)→燕岳→中房温泉。 比較的長めとなる4泊5日の山行である。僕はいつも、初日の行動時間を少なめに配分するのだけれども、このルートでも1日目は約5時間で終える。行程中で、なによりも気に入っている時間が、2日目の早朝に待っているから。 烏帽子小屋のキャンプ地を夜明け前に出発して、三ツ岳へと至る尾根から眺める日の出。これが抜群の美しさなのである。さらには、野口五郎岳へと至る広大な縦走路が、とにかくすばらしい。 同じ日には、鷲羽岳の山頂を踏む。ここで深い谷を刻む硫黄尾根の向こうに、空に突き刺すようにそびえる槍か岳が見えてくる。 さらにその翌日は、フォトジェニックとしかいいようのない双六岳から望む槍か岳の雄姿も待っている。この日は、双六小屋を通過して槍か岳山頂を踏み、少し標高を落として殺生ヒュッテへと向かう。ここでは巨大な槍か岳が目前に迫る景色を眺めながらのキャンプを楽しみたい。 4日目は、多少の苦労を伴うけれど東鎌尾根を抜けて大天井岳へ。燕岳まで進んでもよいけれども、大天荘からの展望を眺めたいがため、ここが僕の定宿なのである。最終日、燕岳山頂へと寄り道をして、合戦小屋で名物のスイカをつまんで体をクールダウンさせて中房温泉へ下山したい。
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アウトドアライター/村石太郎 登山道具について日本随一の知識を誇るアウトドアライターであり、北アラスカの原野を彷徨い続ける冒険旅行家。小誌では長年にわたる連載「野外道具探訪記」を担当している。
【ルート3】槍ヶ岳を背に、大キレットを越えて北穂高岳へ
上高地→明神→徳沢→横尾→殺生ヒュッテ(泊)→南岳→大キレット→北穂高小屋(泊)→涸沢→上高地。 上高地から槍か岳へ。きわどい岩稜を登って北穂高岳、涸沢へと至り、上高地へと戻ってくる周回コース。なかでも、南岳小屋から北穂高小屋へとつづく「大キレット」は、国内の一般登山道のなかでも屈指の難ルートとして知られている。 初日は梓川を遡るように歩き、大曲を過ぎると傾斜がきつくなる。殺生ヒュッテに泊まったが槍か岳山荘まで進んでおけば翌日がラク。 槍か岳から南岳へは快適な登山道がつづく。南岳小屋を越えると、えぐられた深~い谷とその向こうにそびえる北穂高岳の偉容という、大キレットの全容が明らかに。まずはクサリやハシゴを伝って、大キレットの最低鞍部へ。そこからはナイフリッジのような岩稜を登っていく。難所の「長谷川ピーク」は飛騨側への下降が高度感抜群! 足場は確実にあるので慎重に進みたい。つづく「飛騨泣き」も迫力満点‼ 通過後のトラバースも緊張をしいられる。北穂高小屋直下の傾斜はきついが、尾根は広いのでそれまでよりは歩きやすい。とはいえ落石には注意。 最終日の涸沢への下りも、傾斜がきついので、緊張感を持続させてほしい。