“監督の自宅”兼“卓球台も置ける寮”で生徒が暮らす 宇都宮文星女子高校卓球部に潜入
近年、急速に力をつけているのが宇都宮文星女子高校卓球部だ。 2021年12月の関東高等学校新人・選抜卓球大会では団体ベスト4に入り、2022年3月の地元栃木県開催の全国高校選抜でも予選リーグを突破し、ベスト16に入った。決勝トーナメント1回戦では、強豪・就実に惜しくも敗れたが、東川羽菜(宇都宮文星女子高)がエース対決を制して1点を奪うなど光るものを見せた。 【写真】2年生エース兼主将の東川羽菜 チームを率いるのは、名門・仙台育英高校卓球部出身の佐藤康弘監督だ。今年で宇都宮文星女子高を率いて8年目となる。着実に結果を積み上げている宇都宮文星女子高校卓球部の強さの源を探るべく、佐藤監督と2年生主将の東川に話を聞いた。
率いるのは“橋津イズム”を継承した佐藤監督
――佐藤監督は仙台育英高校卓球部出身なんですよね? 佐藤康弘監督:はい、私が高校3年生の時に下から岸川聖也が入って来まして、インターハイで青森山田に勝って優勝する事ができました。 ただ、私は団体メンバーではあったんですけれどもベンチから選手の応援をしていました。 ――橋津文彦監督(現・野田学園高校卓球部監督)の門下生ということですね。 佐藤康弘監督:橋津先生は、仙台育英の時、練習相手をしてくれたり、球出しをしてくれたりと生徒のために一生懸命部活動のサポートをしてくれていました。 当時の橋津先生の姿を鑑にして、私もそのような監督になれたらなと思ってます。 ――“橋津イズム”を継承してるわけですね。具体的にはどのような意識で指導にあたっていますか? 佐藤康弘監督:今だと選手のご両親よりも年齢的には私の方が歳下ですし、一緒に寮で生活している子もいるので、“指導者”というよりは少し近い距離感で接していけたら良いかなと思っています。
県外からの生徒は佐藤監督の自宅兼寮で暮らす
――寮についてもお伺いさせてください。 「一緒に生活されている」ということは佐藤監督の自宅が寮ということですか? 佐藤康弘監督:実は、本校は県外から選手を集める、という考えが今のところなく、寮がありません。 他の部活でも、これまでも県外から来ている選手は、監督が責任を持って一緒に住むなどしてお世話しているような環境で、卓球部もそうなので私の自宅で一緒に生活しています。 今高校生の部員が1年生から3年生までで9名いるんですけれども私の自宅には4名の生徒が住んでいます。 ――学校だけではなく、私生活の面でも部員たちを見守るのはなかなか大変ですね…。 佐藤康弘監督:24時間見守らなくてはいけないので、そういった意味では大変だと思います。 しかし、そういった環境だからこそ本校に預けてくれるという保護者の方もいるので、そう言っていただけるとありがたいですね。 佐藤康弘監督:預かってて思うのが、最初は全く何もできなかった子たちが、自分達で生活していく中でいろんな事が当たり前のようにできるようになっていって、帰省して実家に帰った時に保護者から「こんな事までやってくれたんです」という喜びの声を聞くと、「あぁ良かったな」と思いますね。 卓球以外での成長を感じられるのも、一緒に生活をしていてる立場での醍醐味だなと感じます。