ダウンを超える温かさが続く、ミズノの「テックフィルブレスサーモ」がすごい!
ダウンは軽くて温かいが、水にぬれると「かさ」が著しく減って保温性が下がる。ダウンの弱点を補う化学繊維の中綿(化繊綿)が入った防寒着なら、ぬれてもダウンに比べて保温性が下がりにくい。雨や汗などの浸潤に強い一方で、平常時の保温性はダウンよりやや劣る。ダウンと化繊綿には一長一短ある、というのが従来の常識だった。
ところが、驚いたことに「ミズノ(Mizuno)」が2024年秋に発表した化繊綿のウエアは、雨や汗にぬれたときだけでなく、平常時に比較してもダウンより保温性が高いという。常にダウンより温かい防寒着の登場は画期的だ。そこでミズノ株式会社を訪ね、グローバルアパレルプロダクト本部の櫻井大樹さんに「テックフィルブレスサーモインサレーテッドコート(Techfill Breath Thermo Insulated Coat)」について詳しく聞いた。
水鳥の羽のように極薄の化繊綿を幾層も重ね、撥水性を持たせて保温性UP
袖を通して羽織ると軽くて温かい。この温かさは「ミズノ」が誇る発熱素材「ブレスサーモ」の効果によるものなのだろうか? 人体から放出される湿気を吸って熱を発する機能素材「ブレスサーモ」の発熱効果にしては、羽織った瞬間から違いを感じるのはちょっと早すぎるようだが……。 「新しい機能素材『テックフィルブレスサーモ』は、発熱効果を抜きにしてもダウンを上回る温かさを実現する優れた化繊綿です。それに加えて人体から出る湿気を熱に変える機能もあるので、着用しているとさらに温かさを感じることができます。 多くの場合、化繊綿を使用した防寒着はシート状の綿をウエアの表地と裏地の間に入れて保温性を確保します。温かさの指標として、衣服の断熱性能を示すclo値(クロー値)が使われ、clo値が高いほど、温かいウェアであることを示します。一般的にダウンのほうが化繊綿よりclo値は高いことが知られています」 ぬれると「かさ」が減ってclo値が大幅に下がるダウンに対し、化繊綿はぬれてもclo値が下がりにくい。これが従来のダウンと化繊綿の一般的な関係性だった。「ミズノ」は大阪の研究開発施設「ミズノエンジン」でダウンの長所を化繊綿に取り入れるべく、「環境試験室」での実験なども含めて企業努力を重ねたという。