痩せている人の骨は強い?あなたの骨粗しょう症のリスクは?知っておきたい「骨の新常識」
知っているようで、誤解していることも多い「骨」のこと。正しく知って、正しく対処することが、50代以降の健康には大切だ。整形外科医 中村光伸さんに骨に関する素朴な疑問を聞いた。骨の健康を守るために、今から知っておきたい骨の「新常識」だ。
太っている人より痩せている人のほうが骨は強い?
→答えは× 「一般的に、体重が重くなると骨密度も高くなるといわれています。その理由は、体重の増加とともに骨にかかる負荷が大きくなることで、骨形成が活性化するからと考えられています。ただし、脂肪過多な肥満で糖尿病や動脈硬化などがある場合は、骨密度は正常でも、骨質の劣化により、骨が弱くなる傾向があります」(中村先生)
骨はコツコツたたくだけで丈夫になる?
→答えは◎ 「骨形成を促すためには、“骨をつくれ!”という指令が必要です。そのひとつが骨への“縦方向”への刺激です。重力負荷がかかるランニングやウォーキングでもいいのですが、もっと簡単なのが、座ったまま膝や腕をたたいたり、その場で足踏みをする『コツコツ体操』です。テレビを見ながらでもいいので、ぜひ実践を」
生活習慣で骨粗しょう症は防げる?
→答えは◎ 「骨は毎日少しずつ生まれ変わっています。だから、放っておけば加齢とともにその新陳代謝が衰えて老化しますが、生活習慣次第で食い止めることは可能です」。下のチェックは、骨粗しょう症になるリスクの高い要因があげられている。食事内容に気をつけて、適度な運動を習慣に。喫煙や過度な飲酒はNGだ。 ●あなたの骨粗しょう症のリスクは? □ 細身で筋肉が少ない。 □ 両親に骨粗しょう症の人がいる。 □ 閉経している。 □ 副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)を飲んでいる。 □ 過激なダイエットをしたことがある。 □ 乳製品、青魚、豆腐はあまり食べない。 □お酒をよく飲む。 □喫煙している。 □中学・高校時代にあまり運動していない。 □運動は苦手。普段から歩かない。 □日光に当たらない生活をしている。 □最近、身長が低くなったり、 背中が丸くなった。 残念ながら今から気をつけようのない項目もあるけど、栄養バランスのいい食事や適度な運動、日光に当たるなど、生活習慣の改善で、少しでも骨老化リスクを抑える努力を! 今回の話を伺った先生 中村光伸さん 光伸メディカルクリニック院長。整形外科医、医学博士。近年、注目の若返りホルモン「オステオカルシン」の研究を進め、骨の強化と全身の機能回復を両立する「骨たたき体操」を考案。近著に『医者が考案した骨粗しょう症を防ぐ1分間骨たたき』(アスコム)がある イラスト/Jessie Hartland(CWC TOKYO) 構成・原文/山村浩子