【生活四駆とは?】雪国試乗で実感 スバルへの「信頼」生まれた背景
雪道といえば「スバル」
text:Kenji Momota(桃田健史) editor:Taro Ueno(上野太朗) 【写真】スバルの真骨頂【スバルの「生活四駆」3選】 (220枚) いったい、どこへ行って来たのかこのクルマ? 2月末、そろそろ春の足音が聞こえはじめ、花粉症も気になる季節となった首都圏で、ボディ各所に泥やホコリをつけたスバル・フォレスターを走らせると、周囲のドライバーや歩行者たちが、不思議そうな目でこちらを見ている。 つい4時間ほど前は、3mを超えるような雪の壁の間を走っていたのだが、太平洋側の平野に来ると周囲の雰囲気はまったく違う。 あらためて「都会の人は、雪国の生活が分からないのは当然だ」と実感した。 一方、こちらのクルマがスバルだとわかると、なんとなく納得する都会人も多いように思える。冬場のアクティビティに対するスバルへの信頼度の現れであろう。 そうしたスバルへの信頼。雪国の人にとっては、単なるアクティビティに対してではなく、日常生活の中での必需品という見方をする。 一般的に「生活四駆」と称されるもので、乗用する四輪駆動車という意味であるが、最近はこの言葉をあまり聞かなくなったように思う。 なぜならば、その昔は「生活四駆」イコール「スバル」という特化した領域だったが、近年は各メーカーからさまざまな乗用四輪駆動車が登場してきたからだ。 それでも、スバルが築いてきた雪国とのつながりは強く、雪国の人たちのスバルに対する信頼度は極めて高い。
スバル・テック・ツアーとは?
雪国のスバルの話を進めるうえで、まずはスバル・テック・ツアーについて触れておきたい。 スバル・テック・ツアーとは、スバル本社が企画する、報道陣向けにスバルの技術を体感してもらう場だ。 2016年8月のスバル・ドライビング・アカデミーを皮切りに、スバル歴史講座、ボーイング787機採用の中央翼(ちゅうおうよく)製造工場見学があった。 また、2017年10月には、北海道の美深自動運転テストコースの見学をおこなった際、日本航空からボーイング787をチャーターし、機内でスバル製の中央翼の技術解説をおこなうといった大胆な企画もあった。 さらに、スバル・テック・ツアーでは、スバルの真骨頂であるAWD(四輪駆動)を深堀する企画が実施されてきた。 それが、「リアルワールド雪上試乗会」だ。2017年から2019年まで、北海道、青森/岩手、そして山形と、あえて豪雪地域を選び、各地の生活事情を肌で感じ取るという内容だった。 スバルのクルマづくりの本質が理解できる貴重な場だったが、2020年に入り新型コロナ感染症対策から、こうした大々的な試乗会の実施は難しい状況となっている。 そこで、直近で実施された山形リアルワールド雪上試乗会を振り返ってみると、そこには今回(2021年2月)に筆者によるスバル雪国試乗の現地で感じたことを裏付けるさまざまなデータが紹介されている。