北前船、美浜の繁栄今に 船名札、模型船7点 歴史文化館
福井県美浜町が日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」の認定自治体として追加されたことを記念した企画展が、同町歴史文化館で開かれている。12月26日までの前期では、船名札や模型船など7点を展示し、美浜が北前船交易拠点として繁栄した歴史を伝えている。 「北前船寄港地・船主集落」は、北前船が行き来した日本海、瀬戸内海沿岸の寄港地に残る商家や船主の屋敷をはじめとする幅広い文化財群。美浜町は今年6月、県内で5市町目の認定自治体となった。構成文化財は17件。 企画展では構成文化財を中心に展示。美浜町早瀬で江戸時代から北前船交易を手がけていた岩野家の子孫が保管していた船名札は木製で「明徳丸」と彫られている。小牧拓矢学芸員によると、詳細は不明だが船の部材と考えられるという。 当時の船主や船乗りは海上安全を祈願し、神社などに船絵馬や模型船を奉納していた。早瀬日吉神社に保管されていた模型船は江戸時代の典型的な和船の形である弁財船を模している。模型船は船絵馬に比べて作製に費用がかかるため、「切実な願いと信仰のたまものといえる」と小牧学芸員。海上安全を祈願した木札なども並ぶほか、早瀬区内の常夜灯や同区に伝わる町指定無形民俗文化財「子供歌舞伎」で使われている曳山などについてもパネルで紹介している。 1月7日~3月2日の後期では、文書類や船に掲げられたと考えられるのぼり旗などを展示する予定。 毎週月曜と祝日の翌日、年末年始休館。入場料は一般100円、小中学生50円。問い合わせは町歴史文化館=電話0770(32)0027。