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東博「法隆寺金堂壁画と百済観音」。金堂壁画と観音像が伝える法隆寺の美の世界

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美術手帖

 3月13日から東京国立博物館で開催される予定だった「法隆寺金堂壁画と百済観音」。新型コロナウイルスの影響により開幕中止となった。報道陣に公開された展示の様子をお伝えする。  本展は、世界遺産・法隆寺の西院伽藍の中心をなす、世界最古の木造建築である金堂の壁画に焦点を当てたもの。およそ1300年前の飛鳥時代に描かれたこの貴重な壁画は、1949年の火災により大半が消失。しかしながら、焼損前に描かれた模本や、複製ガラス乾板などが残っており、往時の威容をいまに伝えるそれらの資料を、映像や模型ともに展示する。  第一会場のメインとなるのは、法隆寺の金堂壁画。この壁画群は、釈迦浄土図や阿弥陀浄土図など、仏の群像を描いた大壁4面と、諸菩薩を単独で描いた小壁で構成される。会場では明治時代に桜井香雲が模写した《法隆寺金剛壁画(模本)第一号壁 釈迦浄土図》(1884頃)や、昭和初期に鈴木空如が模写した《法隆寺金剛壁画(模本)第十号壁 薬師浄土図》(1932)などを展示。各時代の様々な人々によって精緻に模写された金剛壁画を、比較しながら破損前の姿を明らかにしていく。  壁画の模本に囲まれて展示されているのは、《観音菩薩立像(百済観音)》(7世紀)、《毘沙門天立像》(1078)、《吉祥天立像》(1078)の3体の国宝立像だ。  昭和初期までは法隆寺金堂内に安置されていた《観音菩薩立像(百済観音)》は、1997年にルーヴル美術館で公開されて以降は法隆寺から出たことはなく、本展が23年ぶりの東京公開となる。  《観音菩薩立像(百済観音)》の両端に展示された、本来は金堂にある中央本釈迦三尊像の右に安置されている《毘沙門天立像》(1078)と、左に安置されている《吉祥天立像》(1078)は、当時の入念な彩色をいまに伝えている。  第2会場では、法隆寺金堂壁画の第一号壁の原寸大の複製陶板を展示。2019年に高精細写真撮影と高精度3D計測が実施され、そのデータを生かして制作されたものだ。壁面の質感や微細な凹凸なども原寸で複製され、今後の研究に大いに役立つものとされている。  また、「スーパークローン文化財」によって制作された、釈迦三尊像や金堂壁画も展示。スーパークローン文化財は、最新のデジタル技術と、高度な専門性を有したアナログ技術を融合させた、東京藝術大学の独自の文化財複製技術。これにより制作された、釈迦三尊像や金堂壁画も、貴重な研究資料として展示される。  文化財保護法の成立から70年となる2020年。残念ながら、近年においても火災や気象災害によって、文化財が失われる事例が多く伝えられている。法隆寺の美の世界を体感するとともに、文化財を保護し、後世に伝えていく意義と方法について考えさせられる展覧会となっている。

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