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【#みんなの3年間】花園V4の名門「合同」経て「単独」で取り戻す芯の継承

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日刊スポーツ

■高校生の主役だった大阪・啓光学園

年末年始の風物詩として知られる全国高校ラグビー大会で、かつて頂点に立ち続けた学校があった。大柄な相手に、次々と突き刺さるタックル。そこから始まる素早い攻撃-。2001(平13)年度から4連覇を果たした大阪・啓光学園(現常翔啓光学園)は、花園ラグビー場を駆け回る高校生の主役だった。 【写真】啓光学園高(現常翔啓光学園)で全国制覇、07年W杯日本代表の佐々木隆道氏

■かつての栄光、全く知らなかった

あれから約20年。同校のWTB内藤楓馬(3年)はある日、学校がある枚方市内のマクドナルドで食事をしていた。突然、中年の男性が声をかけてきた。 「キミ、啓光なんか?」 視線は持っていたカバンに向けられていた。 「『今、合同チームなんです』という話をしたら『ホンマか!?』と、すごくビックリされて…。地域のおじさんも、昔の強かった時代を知っているんです」 野球に打ち込んでいた内藤は中学3年生の冬、高校進学が決まると、常翔啓光学園入学予定者の「LINEグループ」に参加した。まだ顔も知らない200人以上の面々が、部活動の話題で盛り上がっていた。 そこに書き込まれた「ラグビー」の文字で、部の存在を知った。入学後に部室近くで勧誘され、先輩から練習着をもらった。2年前を思い返して笑った。 「『この練習着をあげるから、入れよ』みたいな空気になって…。ラグビー部が強かったっていうことは、全く知らなかったです」

■姿見せなかった2年生、離れていた心

全国高校大会で7度の優勝。「ロイヤルブルー」のジャージーで憧れの的だった名門は昨秋、部員が15人に満たなかった。 府予選には公立の牧野、枚方、北かわち皐ケ丘、枚方津田、長尾と6校の合同チームで出場した。3校が花園の出場権を得る大阪は、予選を3地区で実施している。その第2地区決勝トーナメント初戦で屈した。 状況が暗転したのは2年前だった。18年11月4日。全国高校大会大阪府予選の第1地区決勝トーナメント1回戦で、日新に12-29で敗れた。3年生は引退。OBの川村圭希監督(38)は、新チームの始動日を2日後に設定した。 だが、集合日には最上級生となる2年生が、1人もいなかった。 「『さあ、また頑張るぞ!』って言おうと思ったら、誰もいなかったんです」 翌日も、その翌日も、5人の2年生は姿を見せなかった。気付かぬうちに監督と部員の心は離れていた。 「この時の2年生はものすごい成長率でした。昔の啓光のように、相手に突き刺さるタックルを身につけていました。期待値が高い分、厳しいことも言いました。今思えば、彼らは1学年上の3年生たちがいたから、それに耐えられていたのかもしれません。『これで終わり』と思い、頑張っていたのかもしれません」 忘れたいと思っても、忘れられない出来事だった。 「こうなった以上、全て監督である僕の責任です」 1年生部員は8人いた。追い打ちをかけるように、さらに2人が部を去った。 残った1年生6人の心も揺れた。年明け1月の大阪府新人大会(10人制)は棄権。春の新入生入部により15人がそろっても、春季大会には安全面への配慮で1年生が出場できない。このままでは棄権だった。試合をするには啓光学園として1963年(昭38)に創部して以来、初の合同チームを選択するしかなかった。

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