《体によくない“低血糖”》無理なダイエットで起こりやすい血糖値スパイクは脳梗塞や心筋梗塞のリスク 血糖値の変動を抑えるには「カーボラスト」がおすすめ
糖尿病の人が注意すべき“血糖値の下げすぎ”
糖尿病の人ほど、“血糖値の下げすぎ”には注意が必要だ。治療薬で低血糖になり、深刻な事態に陥ることがあるという。 「高齢になると代謝機能が低下するので、若い人よりも薬が効きやすい。特に数種類の糖尿病治療薬をのんでいると血糖値の調整がうまくいかずに、低血糖で意識がもうろうとすることがあり、ふらついて転倒することもあります。 認知機能が低下して、認知症だと誤解されるケースもある。そうなるとまったく必要のない薬が処方され、症状が悪化する可能性があります」 埼玉県に住む主婦のDさん(62才)は今夏、低血糖で危うく命を落としそうになった。 「糖尿病で1日1回の薬を服用していますが、夏の疲れからかうっかりして1日に2回のんでしまったんです。ちょうど通院の日で、病院の駐車場に車を止めようとしたときに突然目の前が真っ暗になって意識を失いました。車は駐車場の塀に激突。低血糖による昏睡でした。幸いにも周囲に誰もおらず、私自身の打撲と捻挫ですみましたが、一歩間違えば大事故につながっていたと思うとぞっとします」 低血圧より低血糖の方がハイリスクだと指摘するのは医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんだ。 「薬による低血糖で意識障害や昏睡状態に陥ると、脳に後遺症が残ることがある。健康な人が糖質制限をしても低血糖で意識を失うことはないが、糖尿病の治療中で低血糖の症状が現れたら放置しないでください。 また、すい臓にできる腫瘍『インスリノーマ』にかかると、血糖値を下げるインスリンが過剰に分泌されるので低血糖になることがあります」 医療経済ジャーナリストの室井一辰さんは、若者を中心に“ダイエット薬”として人気の「GLP-1受容体作動薬」に警鐘を鳴らす。 「本来は糖尿病の治療薬で、インスリンの分泌を促して血糖値を下げる薬です。GLP-1を使った約6%の人が軽度の低血糖になったというデータもあり、健康な人が使うと低血糖になるリスクが高い。低血糖になれば脳の機能低下にもつながりますし、全身の栄養状態が悪くなるので免疫力の低下にもつながります」