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北極圏上空に珍しいオゾンホール、記録的大きさ

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The Guardian

【記者:Fiona Harvey】  北極圏上空のオゾン層に珍しく、南極のようなオゾンホールが観測された。北極上空の大気温度が、いつになく低かったためだと科学者らは説明している。  穴を観測したのは、ヨーロッパ中期気象予報センターが運営するコペルニクス大気監視サービス。欧州委員会が出資し英レディングに一部拠点を置く同センターは、大気に関する情報を提供している。  この穴は4月上旬、人工衛星と地上の両方から観測されており、記録的な大きさに達した。とはいえ、穴の位置が南下しない限り、人間にとって危険はないと考えられている。  北極域北部の温度が低かったことで、「極渦」(極域に発生する大規模な気流の渦)がいつになく安定したことで、人間の活動によって排出される塩素や臭素といったオゾン層を破壊する化学物質が穴を開けたという。  コペルニクス大気監視サービスのビンセントアンリ・プエシュ所長は次のように説明する。「化学的なオゾン破壊プロセスを促進する、通常とは異なる動的条件を観測した。これにより北極圏上空では通常よりも温度が下がり、極渦が安定。それが極域成層圏雲の発生と、触媒反応によるオゾンの破壊を引き起こした」  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う世界各地の封鎖により、大気汚染や温室効果ガスの排出は劇的に減少したが、今回の穴との関連性はない。また、北極の極渦の状態が通常よりかなり安定している理由が、気候危機と関係しているのか、もしくは成層圏における通常の気候変動の一環なのか、今のところ不明だ。  プエシュ所長は、気候危機との直接的な関連はないとしている。北極圏の温度はすでに上昇しており、オゾン層破壊の速度は遅くなっている。また低緯度から来たオゾンに富む大気と北極の大気が混ざり合うことで、穴は消え始めるとみられている。  北極上空のオゾンホールは珍しいが、南極圏上空のオゾン層にはこれより大きな穴が開いており、40年以上にわたって深刻な懸念材料となっている。1987年に採択された「モントリオール議定書」の下、オゾン層を破壊する化学物質の生産は劇的に減少したが、完全には停止されていない。  昨年11月、南極のオゾンホールは過去35年間で最小になり、有害汚染物質の排出を削減する取り組みが成功していることを示した。  プエシュ所長は北極圏でオゾンホールが観測された要因について、オゾン層を破壊する化学物質の発生源が新たに出来たわけではないとしつつ、「しかしながら今回の観測結果は、モントリオール議定書による措置を当然視してはいけないことを再認識させるものだ。地上および人工衛星からのオゾンホールの観測は、大気中の塩素や臭素の水準が再び上昇するような状況を避ける上で極めて重要だ」と述べた。【翻訳編集】AFPBB News 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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