山田涼介主演「キワドい2人 -K2-」改変された設定が興味深い! ドラマをより楽しむための原作案内
■原作をジャニ読みするさまざまな楽しみ
ということで、本書に関しては「原作を先に読んでいてもドラマ視聴の面白さは減らない」ということを断言しておこう。いや、むしろ先に原作を読んでおく方がいい。「よし、ここまでは原作と同じだ。さあ、ここからどうする?」という目で見ることができて楽しいし、何より前述の「因縁」を読んで、「ドラマの設定の理由」を予想した上でドラマを見れば、自分の推理の答え合わせにもなる。 そしてもしもドラマの「異母兄弟」設定の背後にあるものについて、「因縁」から導き出される予想が正しいとするならば。原作には、もうひとり、涼ちゃんでジャニ読みすべき登場人物がいるということになる。うーん、奥歯に物の挟まったような表現で申し訳ないが、この時点では、原作のネタバラシになるのと、私の予想が正しいかどうかの保証がないので、言えるのはこれが精一杯だ。でも「因縁」を読んでもらえればわかるから! 併せてお勧めしたいのが、原作第4話「力走」だ。これは黒木と神崎の警察学校時代の物語。ふたりが警察学校同期という設定を変えてしまったためドラマにはおそらく出てこないだろう一編である。顔良し・成績良し・運動神経良しの優等生である神崎と、チャラチャラしてるのにどこか掴みどころのない黒木が、警察学校の教場内でおきた事件を解決に導く。これまで学園ものの名探偵を多く演じてきた涼ちゃんに、実は最も似合っている一編でもある。これを涼ちゃんでジャニ読みすると楽しいぞ。 また、ドラマの神崎と黒木は新人刑事と先輩刑事という関係で、神崎の成長物語という側面が強い。だが原作のふたりはまったくの対等。会話はタメ口だし、お互いにちゃんと相手を信頼している良きバディだ。つまり原作のふたりの関係は、ドラマの時点から見た未来のふたりの姿とも言える。すっかり対等になって互いを信じ合ってるふたりを、涼ちゃんと田中圭で読んでみるのも一興。 なお、ドラマで諸星刑事を演じているジェシーだが、これは原作には登場しないキャラ。ドラマオリジナルなので原作ではジャニ読みできない……と思ったら大間違いだ。実は原作には「諸星」という若者が登場する。彼は黒木にさまざまな情報を流す池袋の情報屋なのだ。逃亡アクションシーンがあったり、ホストクラブに潜入したり、続編ではラーメン屋で働いたりする。ぜひこの諸星をジェシーでジャニ読みしてみていただきたい。意外と似合ってるぞ。 ちょっと気になるのは、原作では途中で神崎が結婚するんだけど……まあ、人物の年齢設定が違うので、ドラマではたぶんない……よな? 大矢博子 書評家。著書に「読み出したら止まらない! 女子ミステリーマストリード100」など。小学生でフォーリーブスにハマったのを機に、ジャニーズを見つめ続けて40年。現在は嵐のニノ担。
新潮社