【松浦弥太郎さんが考える投資vol.3】「どんなに収入が少ないときでも自分への投資はつづけていました」。
50代のクウネル世代にとって、今後の資産形成は重要な課題。「投資」についても考えている方が多いと思います。そもそも投資とは?『僕が考える投資について』(祥伝社)を上梓した松浦弥太郎さんの、投資についての明快で健やかなアプローチをご紹介します。そこで見つかるのは、自分の価値を高め、豊かに生きるためのヒントです。前回記事・「発明を発見することは自分だけの宝物になります」に引き続きシリーズ第3回になります。 [写真]松浦弥太郎さん
松浦弥太郎/まつうらやたろう 2005年から「暮しの手帖」編集長を9年間務め、2015年7月にウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。2017年、(株)おいしい健康・共同CEOに就任。「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学びについての執筆や活動を続ける。著書多数。雑誌連載、ラジオ出演、講演会を行う。Instagram:@yatarom
不安のある時代のお金の使い方
今は高度経済成長期のような勢いのある時代でもなければ、一般的なルートに乗れば安心して寿命をまっとうできる時代でもありません。 そして2020年からは、すべての人が等しく、未知のウイルスとの戦いを強いられています。経済的に大変な思いをされている方も、たくさんいらっしゃることでしょう。 そんな不安のあるときこそ、「お金の使い方」がものを言う。僕はそう強く思います。ここでは、収入が減っているとき、仕事の先行きが不透明になったときについてお話ししましょう。 お金に関して不安になったとき、実際に入ってくるお金が減ったときにどうすればいいかというと、最初に行なうべきことは「倹約」です。切り詰められるもの、もしくはなくてもいいなと思える支出を削っていく。まずは1~2カ月を目安に、自分の生活にかかわる支出をすべて書き出してみましょう。そして、余分に出ていっているお金をせき止めるのです。 といっても、あまりストイックになると、それがストレスを生みますから、「できるだけ削る」という意識で大丈夫です。あらためて支出を書き出すことで、もうすでに現実と向き合うことはできているはず。危機感を持つだけでも日々の意識は変わります。 倹約を始めるときには気をつけていただきたいことがあります。それは決してお金の動きを止めないことです。お金を動かす量を減らしたとしても、その状況におけるベストなお金の「使い方」を見つけること。 つまり、「消費」は適切か、「浪費」していないかをチェックして倹約に努めながら、たとえどれだけ苦しくても「自分への投資」をゼロにしてはならないということです。 振り返ってみると、僕はどんなに収入が少なかったときも自分への投資はつづけていました。旅をつづけ、本を読み、人と出会ってきました。貯金はせずに、投資にすべてを注いで過ごしていたと言っていいかもしれません。その日々が忘れたころに結果としてあらわれ、未来の自分を助けてくれたわけですね。投資のリターンとして自分が成長し、少しずつ、お金で苦労することも減っていったのです。