後継者難の倒産、前年同期の1.5倍に急増 最多件数に
東京商工リサーチは、2020年1月〜9月に発生した「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」倒産を抽出した調査を発表した。その結果、同時期における後継者難の倒産は278件で、前年同期比54.4%増と急増したことが分かった。 【データを見る】産業別の倒産件数 この数字は同社が集計を開始した13年以降、年間(1月から12月)で最多を記録した15年の279件を大幅に上回る結果だという。最多件数を塗り替えることが確実なうえ、年間300件を大幅に上回る可能性もある。 後継者難による倒産のうち、1980年代以前の設立もしくは創業は135件となり、全体の48.5%を占める。主な理由は、代表者の「死亡」が119件(前年同期比21.4%増)、「体調不良」が96件(同57.3%増)で、この2つの要因が全体の77.3%を占めている。
建設業が62件で最多
産業別に見ると、建設業が62件で最も多く、前年同期比77.1%増と急増した。集計を開始した13年以降の1月〜9月では、13年同期の53件を上回り、最多を更新。飲食業を含むサービス業他も52件(前年同期比13.0%増)で最多となった。卸売業は49件で同96.0%増と急増。過去最多だった18年同期と並んだ。 東京商工リサーチによれば、業歴が長い小・零細企業では、営業や経理など経営全般を1人で担当する代表者が多く、これが人材育成や社内の新陳代謝が遅れる要因となっている。そのため、代表者の高齢化や健康不安は最大の経営リスクであり、死亡や体調不良に直面するとたちまち事業継続が困難になる。 新型コロナは業績悪化だけでなく、高齢となった代表者には事業継続意欲の低下にもつながる。今後も感染拡大が続けば、倒産も加速する可能性は高い。後継者不足の解消につながる解決策が求められている。
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