【オークス】強い2冠牝馬スターズオンアースと「とても正直な」川田騎手【本城雅人コラム】
◇コラム「ぱかぱか日和」 牝馬クラシックにはいくつかの傾向がある。本当に強い牝馬は血統に関係なく、オークスも勝って2冠牝馬になる。だが桜花賞が荒れると、オークスは忘れな草賞、フローラSといった別路線組が制する。そうした理由から忘れな草賞を勝ったアートハウスが2番人気、フローラS馬のエリカヴィータが6番人気と評価が上がったのだ。サークルオブライフが1番人気に支持されたのは桜花賞で大きな不利を受けたから。つまり今年の桜花賞組は弱くはないという考えだ。だが終わってみれば、桜花賞馬なのに3番人気だったスターズオンアースが2冠を達成し、過去の傾向は覆された。勝ち時計の2分23秒9は、ラヴズオンリーユー(2分22秒8)、ジェンティルドンナ(2分23秒6)、アーモンドアイ(2分23秒8)に次ぐ4番目。この世代どころか、歴代の最強女王たちに肩を並べる強い内容だった。 祖母スタセリタは仏オークス馬、叔母ソウルスターリングは日本のオークスを制している。ただし前走の切れ味から距離不安はあった。それと大外18番枠も。 人気が上がらなかった一番の理由は桜花賞で騎乗した川田騎手が、アートハウスを選んだからだ。その川田騎手は追い切り後の会見で、終始、慎重な言い回しだったことから、テレビやネットなどでは「弱気」「泣き」といった臆測が飛んだ。 だが川田騎手が会見で言ったように、母馬に乗っていたことなどの理由から、桜花賞の前に、アートハウスが出走できるならオークスは乗ると決めていたのだろう。そしてスターズオンアースとアートハウスのどちらが上かは比較できなかったのだろう(アートハウスで強気なことを言うと、自然とファンに同馬が上と判断されてしまう)。 川田騎手はとても正直なジョッキーなんだな。それが強い女王が誕生したのと同じくらい、私の今年のオークスの印象である。 (作家)
中日スポーツ