どうなる?!”二刀流スター”大谷翔平の契約延長問題…最低7年約239億円の大型長期契約か”禁断”のトレードか?
今オフは、プホルスの契約が終了したので少し余裕が出来る。アップトンとの契約は来年まで。かといって例えば、ある程度長期的視野に立ち、柱となるような先発投手と長期契約を交わす、あるいは、トレードで大物を獲得するということが可能かといえば、簡単な話ではない。大谷との契約延長を控えているからである。 そもそもその算出が難しい。基準を7年総額2億1000万ドル(約239億円)としよう。年平均3000万ドル(約34億円)は、今年のような活躍をしてくれるなら格安。打者か投手、少なくとも一方で今年のような数字を残してくれれば適正。ケガをして戦列を離れるようなら割高だが、それが長期高額契約というものだ。 来年も投打で今年のような成績を残すなら、さらに相場は上昇するが、いずれにしても再来年の年俸を3000万ドルとすれば、2023年はトラウト、大谷、レンドンの3人で年俸が1億ドル(約114億円)を超える。仮にレンドンをトレードできるなら道が開けるが、その可能性は低く、となるとやはり、先発1、2番手クラスへの投資は難しい。皮肉にも大谷との再契約が、補強を一層複雑なものとしてしまう。 本来なら、若い投手が台頭し、先発ローテーションの一角に食い込んでくるのが理想。ただ、グリフィン・キャニング、パトリック・サンドバルら駒は揃っているものの、いずれも先発3、4、5番手レベル。マイナーにも残念ながら、楽しみな存在はいない。夏には、傘下のマイナーリーガーが待遇改善を訴えるほどで、育成姿勢そのものにも問題を抱える。 よって残念ながら、大谷がFAになるまでにチーム状況が劇的に改善される可能性は低く、となるとやはり、移籍もあるのでは、というロジックに発展する。 後は、大谷の価値観次第。FAまでの残り2年で、チームの方向性をどう読み、判断においては、何を優先するのか。少なくとも今オフの契約延長は前向きな材料が乏しく、提示があっても、大谷は保留するのではないか。 なお、もしもエンゼルスがフランチャイズの再建だけを目指し、数年後から毎年のようにプレーオフを争えるための布石を打つとしたら、今オフ、大谷をトレードして4~5人のプロスペクトを獲得するという策には一理ある。だが、ヤンキースにベーブ・ルースをトレードしたことでレッドソックスがどんな道をたどり、また、その決断が長く揶揄され、「バンビーノの呪い」という言葉さえ生まれた歴史を振り返るなら、やはりトレードはタブーなのかもしれない。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)