高校生の「デートカー」に活躍 ポンティアックGTO(2) 現代的なモディファイで完璧な走り
古いオープンカーとして驚くほどの操縦性
元祖マッスルカーの走りへ、期待と不安が入り交じる。最初にシートへ腰を下ろしたのは、レッドのポンティアック・テンペスト・ルマン GTO コンバーチブル。389cu.in(6374cc)のV8エンジンは、始動直後に滑らかなアイドリングを始める。 【写真】元祖マッスルカー:ポンティアックGTO 元祖ポニーカーとスーパーカー マスタングとミウラも (109枚) 発進させると、古いアメリカ車のオープンカーの割に、驚くほど操縦性が良い。直進時も細かくステアリングホイールを動かし続けるような、典型的なイメージとは別物。ステアリングレシオは、所有するロバート・グリーン氏の考えでクイック化されている。 フロントサスペンションのアライメントも、見直されている。ステアリングの反応は精度が高く、ブレーキも頼もしい。オートマティックは4速へ置換され、高めの速度域でも予想を上回ってリラックスできる。 ボディは巨大だが、フロントフェンダーのエッジが立ち、左右の位置を掴みやすい。現代の大きなSUVと比べても、車線の中央を簡単に保てる。車重は1860kgあるが、最近の感覚では重すぎるとはいえないだろう。 アクセルペダルの角度が浅い時は、トリプル・キャブレターの内、動作するのは中央の1基のみ。オリジナルでは、それを挟む2基はバキュームホースで制御された。グリーンは、これをワイヤー式へ変更してもいる。
巨大なトルク 滑らかなパワーデリバリー
標準のATが2速しかないことを忘れるであろう勢いで、トルクは巨大。かつて、全力加速時の制御は難しかったかもしれないが、新しいタイヤなら大きな問題にはならない。 キャブレター制御の改良もあって、パワーデリバリーは滑らか。V8エンジンは、きれいに吹け上がる。途中でためらうような素振りは一切ない。 GTOのコンバーチブルは、本物のマッスルカーではある。しかし、ソフトトップを畳んで、カリフォルニア州のパシフィック・コースト・ハイウェイを流すようなスタイルが最適だろう。カーブで手を焼くSUVを、短いストレートで追い越しながら。 対するブラックの1966年式GTO ハードトップクーペは、ドラッグレース・コースがぴったり。ニック・トロット氏のクルマには4速MTが載り、オプションだったハースト社製のシフトノブが付いている。 オーナーは、フルスロットル時のマナーが完璧ではないと話す。確かに、キャブレターのセッティングには詰める余地があるようだ。少し残念。 リアアクスルのレシオは、コンバーチブルと比べてかなりショート。クロスレシオのマニュアルへ、合わせた設定と考えられる。当初は2速ATの支持率が高かったものの、1967年には半々でMTが選ばれるようになっていた。