2カ月ぶりの実戦復帰を果たした千葉ジェッツの渡邊雄太は若手の挑戦を歓迎「フィジカルに恐れずやってくる選手は大好きです」
復帰初戦でフル稼働も厳しい自己評価、「28分でへばっているようではダメです」
周囲から見れば、2カ月ぶりの復帰で28分もコートに出て、守備で高い強度をキープしたのは素晴らしいという感想しかない。だが、渡邊は、出場時間について「正直、もうちょっとできると思っていました」と語り、厳しい自己評価を下す。「思ったよりしんどかったですし、接戦になればなるほどプレータイムは増えていくと思います。28分でへばっているようではダメです。試合を重ねていくことが一番良いゲームシェイプに戻す方法だと思っています」 この日、多くの時間で渡邊のマッチアップについたのは、ルーキーの脇真大だった。206cmの渡邊に対し、193cmの脇と一回りサイズで劣る脇だが、前から激しくフィジカルで当たるディフェンスで奮闘した。渡邊は脇の印象をこう語る。「彼はとにかくフィジカルに来て、フルコートでピックアップしてきたりとか、死ぬ気で僕を止めるという気持ちを試合を通してすごく感じていました」 今回の脇に限らず、渡邊のBリーグ参戦によって、彼とのマッチアップを楽しみにする日本人選手は多いだろう。千葉Jは来週の12月7日、8日にアウェーで三遠ネオフェニックスと対戦するため、日本代表のチームメートである吉井裕鷹とのマッチアップは大きな注目を集めるはず。憧れの渡邊に一泡吹かせてやろうと挑んでくる若手に対し、もちろん渡邊は千葉Jの勝利のためにも高い壁として君臨し、負ける気は全くない。ただ、同時に自分に闘志剥き出しで向かって来る新星たちのチャレンジを楽しみにしている。そこには、日本バスケ界の発展に寄与したいという強い思いが根底にある。 「本当にこうやってフィジカルに恐れずやってくる選手は大好きです。だから吉井と3年前に初めて会って練習した時、彼をすごくリスペクトしました。日本人はどうしても優しすぎる選手が多い中、良い意味でクレイジーなメンタリティーを持った選手がどんどん出てくれば、日本のレベルアップに繋がります。そして彼らが代表に入って世界を経験したりすることで、日本のバスケはまた次のレベルに行くことができると思います。もちろん僕は僕で彼らに簡単に負けないようにプレーします。ただ、代表ではチームメートになることもあると思うので、彼らの成長を楽しみに見守っていきたいです」 渡邊の復帰は、千葉Jのさらなるレベルアップはもちろんだが、Bリーグ全体にも大きなインパクトをもたらす。ビジネス面でいえば、渡邊のプレーを生で見たいとアウェーの観客動員アップなどが挙げられる。そして競技面でいえば、渡邊と実際にマッチアップすることで文字通りの世界トップレベルを肌で感じることができる。今日の脇のように、渡邊に果敢に挑んでいく日本人の若手選手を多く見られることに期待したい。
鈴木栄一