離婚訴訟・慰謝料の実際や相場をご存知ですか? 「不貞行為」「共同親権の問題点」については?…心身をすり減らす「泥沼離婚」予防策を元裁判官が教えます
男女間の「怖い」問題の予防策も伝授
―― 最後に、予防法学的な観点から、男女関係トラブルについては、いかがでしょうか? 瀬木すでにお話の出た不貞慰謝料請求については、本書に複数の項目を設けて詳しく分析していますが、そのほかにも、大学病院男性医師がナンパした女性のストーカー行為で左遷されて最後にはつきまとい禁止の仮処分を求めてきたとか、昔のニューヨークで買春を試みた日本人ビジネスマンや旅行者が危険地域で多数殺されていたとか、ネットを通じて未成年の少女たちが各種の性的被害にあうとか、これも、男女関係の話ですから、本当に、「怖い」ことが多いのです。ですから、親族のセクションの最後では、こうした事柄についての予防策についても、まとめておきました。 ―― これらは、元ベテラン民事系裁判官にして民事訴訟法の権威であり、さらには、経験論的なリアリズムと実証主義に基づく一般書も多くものしてこられた先生ならではの記述ですね。 瀬木学者や法律家が通常書かない、あるいはうやむやにすましているような種類の事柄、情報についても、それが読者にとって有益なものである場合には、包み隠さず、明確、率直に述べるようにしたのは、専門書をも含むほかの書物と同様です。 それが、裁判所や大学を含め日本の部分社会の多くを見てきた学者・著者としての、私の責務でもあると思っていますから。 * 元エリート判事にして法学の権威として知られる瀬木比呂志氏の新作、『現代日本人の法意識』が刊行されます。 「同性婚は認められるべきか?」「共同親権は適切か?」「冤罪を生み続ける『人質司法』はこのままでよいのか?」「死刑制度は許されるのか?」「なぜ、日本の政治と制度は、こんなにもひどいままなのか?」「なぜ、日本は、長期の停滞と混迷から抜け出せないのか?」 これら難問を解き明かす共通の「鍵」は、日本人が意識していない自らの「法意識」にあります。法と社会、理論と実務を知り尽くした瀬木氏が日本人の深層心理に迫ります。
瀬木 比呂志(明治大学教授・元裁判官)