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noteユーザーのIPアドレス漏えい ネットで特定祭、断定には法的リスクも

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弁護士ドットコム

情報発信ができるメディアプラットフォーム「note」を運営するnote社は8月14日、記事投稿者のIPアドレスが外部から閲覧できてしまう不具合が生じていたとしてお詫びした。 【写真】ネット中傷で自殺未遂、出家した元女性アナの今 同社によると、noteユーザーが直近でログインしたIPアドレスが、記事詳細ページのソースコードから確認できる状態だった。14日10時40分に不具合を検知し、note全体へのアクセスを遮断した上で、修正対応を完了。現在は外部から閲覧できないようにしたとしている。 note社は「一般的なIPアドレスから、個人情報を特定することはできません」とした上で、IPアドレスで特定個人の住所など個人情報を入手することや、IPアドレスを利用して他のサイトにアクセスした履歴が本人だと断定することはできないとしている。 ネットでは有名人のnoteから判明したIPアドレスと匿名掲示板5ちゃんねるの書き込みIPアドレスが一致しているという指摘も上がっている。 一方で、「IPアドレスが一致しても、同一人物が書いたとは断定できない」との声も聞かれる。IPアドレスの流出で、どんな影響が出てくるのか。ネットの誹謗中傷などの問題に詳しい中澤佑一弁護士に聞いた。 ●IPアドレスは「インターネット上の住所」 ーーそもそも「IPアドレス」とは何か、改めて教えてください IPアドレスとはネットワークに接続する機器を判別するための識別符号です。 インターネットに接続しているスマートフォンやパソコン、タブレット、ルーターなどは、すべての機器にIPアドレスが一つ一つ割り当てられており、ネットワーク上の位置を識別するための情報として機能しています。 このため、IPアドレスは「インターネット上の住所」などとも呼ばれます。 ●同じIPアドレスだから同じ人? ーーIPアドレスが一致すれば、同じ人が書いたと言えるものでしょうか インターネット上の住所というと、同じIPアドレスだから同じ人だと思うかもしれませんが、理論的にはそうとは言い切れません。 一般的なプロバイダ契約や携帯電話キャリアの契約では、IPアドレスは、その人個人が一つのIPアドレスを専有するわけではなく、インターネット接続のたびにプロバイダから割り当てられたIPアドレスをその都度使用します。 よって、時点が異なれば、同じ人でも異なるIPアドレスを使用することもあり、同じIPアドレスを別の人が使用することも当然にあります。 つまり、時点が違う書き込みのIPアドレスが同一であることのみを根拠に、同一人物であると断定することはできません。 ●長期間にわたり同一人物が使用する場合も ーーIPアドレスが同一であるとして、同一人物だと認められることはないのでしょうか もっとも、常時接続のブロードバンドルーターを使用する場合など、同じIPアドレスをある程度の長期間にわたり同一人物が使用する場合は珍しくありません。 よって、仮に1月1日に投稿されたnote記事の投稿時IPアドレスと、2月1日に投稿されたnote記事のIPアドレスが同一であった場合、相当程度低い確率で偶然に二つの時点で同じIPアドレスが割り振られたという偶然の一致の可能性は否定できないものの、1月中は継続してその人物がそのIPアドレスを使用していたと合理的に推認できるのではないでしょうか。 このような推認を許す事情があれば、ほかに合理的な疑いをさしはさむ事情がない限り1月中に同じIPアドレスを使用して他のサイトに投稿した記事は、この人物が投稿した者だと推測することもできると思います。 実際に、このような推認のもと、間の時点の書き込みを行った者も、同一人物であると事実認定した裁判例もあります。 ーー家庭や会社など、同じプロバイダを使っている場合はどうでしょうか。 なお、IPアドレスは「人」に対して割り振られるものではないため、ブロードバンドルーターを設置して家族4人がwi-fi接続をする場合など、外部から見ればすべて同じIPアドレスに見えます。 IPアドレスから言えることはあくまで、同じ家、同じ場所といったレベルですので、この点は注意が必要でしょう。同じ場所の中の誰が?というところまでは本来IPアドレスではわかりません。 ●名誉毀損などで「損害賠償請求や刑事罰を受ける恐れ」も ーーIPアドレスが一緒であることだけを根拠に、「この人が書き込んだものだ!」と特定するリスクについて、教えてください。 note社の説明のように、IPアドレスが同じだけでは、同一性の根拠にはなりませんから、当然ながら、誤った情報を流布したとして名誉毀損等を理由に、損害賠償請求や刑事罰を受ける恐れはあります。 また、先ほどの説明のように複数時点のIPアドレスを比較分析した結果であっても、論理的に絶対そうだということにはなりません。推認が正しく同じ家(オフィス)から発信されたとしても、家族や別の社員など別人の可能性は全く排除できません。 【取材協力弁護士】 中澤 佑一(なかざわ・ゆういち)弁護士 発信者情報開示請求や削除請求などインターネット上で発生する権利侵害への対処を多く取り扱う。2013年に『インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル(中央経済社)』を出版。弁護士業務の傍らGoogleなどの資格証明書の取得代行を行う「海外法人登記取得代行センター Online」<https://touki.world/web-shop/>も運営。 事務所名:弁護士法人戸田総合法律事務所 事務所URL:http://todasogo.jp

弁護士ドットコムニュース編集部

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