保育現場を疲弊させるコロナ禍、保護者にもフラストレーション
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との戦いが長期化し、飲食店や医療機関、学校などでは引き続き大変な思いをしている人が数多くいます。 その中でも小さな子どもたちの命を預かる保育園や幼稚園では、2月から3月にかけて発表会や卒園式などの行事ラッシュ。感染症対策をしながら毎日子どもたちを見守り、イベントを成功させるべく保育士さんたちが奮闘しています。 コロナの問題が起きて1年が経つ今、保育園の現場では実際にどのような問題が生じ、保育活動が行われているのでしょうか。調査結果や保育士・保護者の声をもとに紹介します。
保育士が感じる業務負担増と精神的なもどかしさ
株式会社ニッソーネットが保育士派遣スタッフを対象に2020年11月に行った調査では、働いている職場における保育士の数について聞くと「大変不足している」(9.4%)、「やや不足している」(50.0%)と約6割が保育士不足を実感していました。 また、特にコロナの影響を大きく感じることについては「レクリエーションやイベントが延期・中止になった」(65.6%)が最も多く、「除菌・消毒作業などの感染対策に関する業務が増えた」(53.1%)、「マスク着用などにより、子どもとのコミュニケーションが取りにくくなった」(50.0%)といった回答が続きます。 かねてから慢性的な保育士不足が問題になっていますが、このコロナ禍でさらに保育士への負担が増している現場の実態が透けて見えます。 また、株式会社ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)が2021年1月に幼稚園と保育園の先生964人を対象に行った調査では、「園児にしてあげたいけどできていないこと」として「保護者に成長を見てもらい、ほめてもらえるような機会を作ってあげること」(55.2%)が半数を超える結果に。 行事やイベントの中止は保護者の楽しみだけでなく、子どもの活力やモチベーションにも影響します。実際に保育士からも「行事を通して褒められる機会が減ることで、子ども自身のやる気が損なわれている気がしてもどかしい」という声がありました。 コロナ禍における保育現場では、除菌作業増加などによる業務負担だけでなく、子どもの成長に寄り添えないもどかしさを強く感じる状況であることがうかがえます。