燃費の不正測定は91年から 三菱自動車社長「会社の存続にかかわる事案」
軽自動車の燃費試験で不正が行われていた問題で、三菱自動車は26日、国土交通省に現段階での調査結果を報告した。その後に行われた記者会見で、目標とする燃費を何度も上方修正する中で不正が行われた実態や、車の種類や車種によっては走行試験を行わずに机上でデータ算出されたことが明らかになった。燃費データは国内法で定める方法とは違う試験で測定していたことが分かっているが、その不正は25年前の1991年から行われていた。相川哲郎社長はあらためて謝罪し、「会社の存続にかかわるほどの大きな事案」と述べた。 【中継録画】燃費不正問題 三菱自動車が国交省への報告を受けて記者会見
走行試験を行わず机上でデータ算出も
燃費試験データの不正が行われた4車種のうち、「eKワゴン」と「デイズ」には「燃費訴求車」「標準車」「ターボ付き車」「4WD車」という4つの種類がある。このうち、他社の燃費がいい軽と競合できるように設定した「燃費訴求車」では、目標とする燃費が社内会議で5回にわたって上方修正された。開発途中の2011年2月段階で26.4km/lだったが、2013年2月には最終的に29.2km/lまで引き上げられた。 燃費試験では燃費を左右する要素の一つである「走行抵抗値」を測定するが、実際より良く見せるために、計測したデータの中からいい値を選んで設定した。4車種の中には走行試験を行わず、燃費訴求車の目標燃費から逆算してデータを机上算出するケースもあったという。 会見に同席した中尾龍吾副社長は、目標燃費はダイハツ「ムーブ」をもとに設定したと明かし、「(29.2km/lに)プレッシャーを感じて、そういう(不正という)方向に走ったのだろう」と述べた。
不正な測定法が続いた理由は「調査中」
国内法の定めとは異なる試験方法でデータが測定されたことも明らかになっている。国内では1991年に、道路運送車両法で「惰行法」という測定法が指定されたが、三菱自動車は米国で行われている「高速惰行法」を採用。2001年には惰行法と高速惰行法の差が、最大2.3%にとどまると確認し、それ以降も高速惰行法を使い続けた。これらの判断がなぜ行われたかについては「調査中」とした。 相川社長はかつてeKワゴンの開発者だったのに、なぜ法規と異なる測定法に気づかなかったのかと記者から問われると、「走行抵抗の測定は担当部署以外、関与しない。当時はまったく承知していなかった」と釈明した。