電車で座っていたら、目の前に高齢者…席を譲る? 譲らない? あなたならどうする
電車で席に座っていて、ふと気が付くと目の前に高齢者が立っていた─ということを、多くの人は経験したことがあるでしょう。日本では「お年寄りや妊婦、体の不自由な人には席を譲った方が好ましい」という社会通念があり、目の前の高齢者を完全に無視して席に座り続けるのは難しいようです。 一方、見た目は高齢者でも本人が高齢者として扱われることを嫌い、席を譲るとかえって失礼になってしまうケースもあり、席を譲るにしろ譲らないにしろ、その選択には葛藤や決意がつきまとうものです。席に座っていて高齢者が目の前に立ったとき、「あなたならどうする」のか聞きました。
気を使うのが嫌で譲らない
「相手の様子次第です。立っているのがつらそうに見える人や、荷物を持っている人には譲ります。しかし、お年寄りでも、背筋がシャンとしている人には譲りません。譲らないことで『あなたはまだまだ元気でお若いと思います』という、無言のメッセージを送っているつもりです。 昔は、(譲るかどうか)微妙な年齢の人が前に立つたびに『どうしよう…』と緊張していたのですが、席を譲るラインを『第一印象で、立っているのがつらそうに見える人だけ』と決めてからは、(迷いがなくなり)楽になりました」(27歳女性) 自分の中に、譲るか譲らないかの物差しを持つことができたら迷う必要はなくなりますが、これがなかなか難しいものです。本当に納得のいく考え方にたどり着くまでには、やはり悩まなければなりません。 とはいえ、その“物差し”も人によりけりです。こんな物差しを持つ人もいます。 「普段から疲れ気味なので、電車で座れたら大体すぐに眠ります。眠ってしまうので、誰が近くに立っているのかなど全く分かりません。 席を譲って必ず喜ばれるならそうしますが、相手を不快な気分にさせてしまう可能性もあります。『だったら、最初から譲ろうとしなければいいのではないか』という考え方も一つの正解なのではないかと思うのです。 そう考えているからこそ、すぐ眠れるというのもあるかもしれません」(34歳男性) この男性のように、自分なりの物差しさえあれば、「席を譲らないこと」への罪悪感を覚えることもなくなるわけです。 しかし、この男性のケースでやや興味深いのは、「外界をシャットアウトするために、あえて眠っているのではないか」とも考えられる点です。眠ることで全てを知らなかったことにはできますが、それは「知らなかったことにしたいものがある」、つまり「罪悪感はやっぱりどこかにある」ということを示している、と見ることもできるのです。