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モノクロバージョンが描く異世界。宣伝プロデューサー 星安寿沙が語るアカデミー賞4冠受賞作『パラサイト』

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otocoto

宣伝プロデューサーが語る『パラサイト 半地下の家族』が公開されるまで

韓国映画初のカンヌ映画祭パルムドール受賞をはじめ、第92回アカデミー賞では作品賞・監督賞他4冠受賞の快挙を成し遂げたポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』。日本でも大ヒット上映中の本作で宣伝プロデューサーを担当したビターズ・エンドの星安寿沙さんに、公開までの秘話をうかがいました。カンヌ国際映画祭で初めて目にしたときの衝撃、その面白さをどう宣伝で広げていくか。ネタバレ厳禁の内容を、口コミで広げるにはどうすれば良いのか? 年をまたいだ異例の先行公開を行った理由とは? そして歴史的な事件となったアカデミー賞受賞を映画宣伝に携わる人々はどう受け止めたのか? 映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』の池ノ辺直子が代表を務める予告編制作会社バカ・ザ・バッカは、ビターズ・エンドとは20年ぶりの仕事となった『パラサイト』の予告編を担当。今回は、なぜ予告を作ることになったのか、その不思議な縁から話が始まります。そして6月5日から公開が始まった『パラサイト 半地下の家族 モノクロVer.』の魅力も明らかに。 ――『パラサイト 半地下の家族』がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したときに、「早く見たい!」と思ったんです。日本はどこの会社が配給するんだろうと調べてみたら、ビターズ・エンドさんだったんです。でも、20年前に公開されたダルデンヌ兄弟の監督作品『ロゼッタ』で、予告編の制作をさせていただいてから今までご縁がなかったんですよ。だから『パラサイト』の予告もよそで作られるんだろうなと思っていて、試写だけでも見せてもらおうなんて思っていたら、星さんがうちのホームページを通して問い合わせをしてくれたんです。 そうなんです、『パラサイト』の予告編を、バカ・ザ・バッカさんにお願いしようと思ってご連絡しました。バカ・ザ・バッカさんと20年前にお付き合いがあったのは、後で社内で聞いて知りました。 ――あのとき、どうしてホームページから連絡してくださったんですか(笑)。 遅い時間だったこともあるんですけど、一度メールで問い合わせてからお電話しようと思っていたんです。予告編をどうしようかと考えていたのですが、その頃『ハウス・ジャック・ビルト』 や『THE GUILTY ギルティ』の予告を劇場で見る機会が多かったんです。もしかして、『パラサイト』とも相性が良いかもしれないと思って、これを作ったバカ・ザ・バッカさんに連絡したんです。その2本の予告を担当された工藤さんに『パラサイト』もやっていただいたので、これは本当にご縁だなと思いました。 ――私は早く『パラサイト』が見たいから(笑)、すぐ OKの返事をして、工藤と一緒にイマジカへ試写に行って、作品に圧倒されたんです。だけど、あのときはカンヌの後にアカデミー賞も受賞するとは思っていませんでした。だから、日本は年明けに公開するって言うから、カンヌから時間が経っているので大丈夫かなと思っていたんですよ。 昨年の12月27日から2週間、日比谷と梅田の2館で先行上映をして、1月10日から全国公開という形をとったのですが、秋口に『アナと雪の女王2』、年末年始に『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』などの大作の公開もあったので、1月10日に全国公開というのは、大きく広げるにはベストなタイミングということでした。それに、口コミが効くタイプの作品なので、先行上映することで年末年始に良い口コミが広がるんじゃないかなっていう期待もあって、こういう公開形式になりました。 ――それがすごい大ヒット! 今、興行収入はどれくらいまで行ったんです? 46億円を超えました。 ――こんなにヒットするって予想してました? 脚本を読んだ段階からすごく面白かったんですが、正直少し不安でした。昨今の韓国映画って昔ほどの大ヒットを記録するのは難しい状況です。2005年に公開された『私の頭の中の消しゴム』は興行収入30億円を記録したんですが、2017年 に日本で公開された『新感染 ファイナル・エクスプレス』は3億円でした。今では15年前のような数字にはなかなか届きにくいを思うと、宣伝をやる側としては、不安がありましたね。結果的に数字にちゃんと結びついたのですごく良かったと思っています。 ――最初、どのくらいの数字を目標にしていたんですか? 当初は5億に届けば良いなという目標でした。『新感染』の数字をひとつの目安として、5億は越えたいという話はしていました。

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