【チャンピオンズC・生情報】〝16番目の挑戦者〟 滑り込みで出走にこぎつけたテーオードレフォンの濃密な2週間
[GⅠチャンピオンズカップ=2024年12月1日(日曜)3歳上、中京競馬場・ダート1800メートル] 17日に行われたリステッド・福島民友Cのレース後、テーオードレフォン(牡5・梅田)が1着の枠場に帰ってくると梅田調教師は、オーナーにすぐ「チャンピオンズCに行きましょう」と連絡したという。間隔的には中1週。もともと予定していたとすれば、詰まりすぎているようにも思えるが…。 「一杯に走り切っての勝利だったなら、普通に考えれば名古屋大賞典(12月19日)を目指していたと思う。でも、(テーオー)ドレフォンはノーステッキ、まだ余裕がありながらの完勝だった。馬も全然疲れていなかったし、それならチャンピオンズCに挑戦したいと思った。オーナーも賛成してくれたしね」(梅田調教師) しかし、フタを開けてみるとダート一線級の層は厚かった。直近のリステッドを制したテーオードレフォンでも賞金が足りず、補欠枠だったのだ。2頭が出走を取りやめない限り、枠は回ってこない。その時点で、「まさか2頭もやめたりはしないやろ。仕方ない、チャンピオンズCはどうせ(主戦の丸山)元気が乗れない(騎乗停止)んだし、名古屋大賞典に行くか」と切り替えていたという。 だが、その〝まさか〟はやってきたのだ。 22日に、有力候補だったラムジェット(牡3・佐々木)が右前脚挫石のため回避することが発表された。これによって出走可能となったのは出走馬決定順位17番目のスレイマン(牡6・池添)で、テーオードレフォン陣営にとっては補欠順位が繰り上がっただけ。状況は変わらなかった。 しかし、そこから2日たった競馬開催中の24日。重賞5勝(うち3勝はJpnⅠ)を挙げている実力馬メイショウハリオ(牡7・岡田)が左後肢の筋肉痛でチャンピオンズC回避を発表した。京都競馬場で知らせを聞いた梅田調教師は、担当者、オーナーに連絡の上、「GⅠを使えるチャンスが巡ってきたなら、当然、行くに決まっている」と決断。その日、2歳新馬戦で厩舎の管理馬(ウインヘリオドール)に騎乗していた三浦皇成に「チャンピオンズC、うちの馬に乗ってくれるか」と打診し、三浦は快諾した。 「皇成にとっては、ほんまはGⅠを取れるチャンスやったんやもんな」(梅田調教師) 最初に回避を発表したラムジェットは、三浦のお手馬だ。今回の回避は三浦にとっても非常に残念なことだっただろう。しかし、さまざまなタイミングが重なって、テーオードレフォンへの騎乗依頼が回ってきた。今回が初騎乗ではなく、今年の1月、中山で行われたオープン・ポルックスS(ダート1800メートル)でも一度、コンビを組んでいる。 「あのときは昇級戦だったけど、一旦は単独先頭に立つなかなか強い競馬だった(5着)。皇成もいいイメージを持ってくれていると思うし、今は当時と比較しても馬が大きく成長して強くなっているからね。伏兵扱いなのは分かっているけど、今がこの馬のこれまでのキャリアの中では一番だと感じている。前回、元気がタメる競馬をしてくれたのも、生きてくるはずだよ」(同師)