JR東の減便で、栃木の高校「授業時間」繰り上げに! 今一度考えたい、鉄道と利用者のあるべき姿とは
減便が及ぼした影響
ローカル線の合理化が、その主要な利用者である高校生の学びに影響を及ぼすことがある。 【画像】驚愕! JR東日本減便の実態を見る(6枚) 列車の運行時刻が変更されたために、生徒の下校のタイミングと合わず、高校が授業時間の変更を余儀なくされた例がある。2022年3月12日(土)のダイヤ改正で列車本数が削減された、栃木県内のJR東日本東北本線だ。 少子化という課題の最前線に位置するともいえる鉄道と学校。両者がともに持続的であるために、今回の例を反省材料にする必要がある。
授業時間10分前倒し
JR東日本東北本線の黒田原駅(栃木県那須町)を最寄りとする栃木県立那須高校は、2022年度から、授業時間の10分間の前倒しを行った。下校時間帯の東北本線の運転時刻が、ダイヤ改正に伴い、大きく変わったためだ。 同駅を含む東北本線黒磯~新白河間の運行頻度は、おおむね1時間~1時間半に1本の割合。新ダイヤでは、同駅を16時台に発着していた上り列車(16時48分発)がなくなり、下校する生徒は、50分以上早い15時55分発に乗らなければならなくなった。 同校の従来の終業は15時40分で、駅までの約1.5kmの道のりを考えると、とても間に合わない。一方で、次の上り列車は17時28分発まで1時間半以上もなく、これでは帰宅が遅くなり、学習時間が削られる懸念もあった。 15時55分発の列車時刻に合わせ、終業を15時30分に繰り上げるのが窮余(きゅうよ)の策だったわけである。
「朝の読書」中止に
これは、現状を踏まえた柔軟な対応ともいえるが、そのために前年度まで行われていた「朝の読書時間」は取りやめとなった。 栃木県教育委員会の高校教育課によれば、始業前に設定された読書時間は正課ではなく、習得すべき単位数に影響はない。とはいえ、生徒にとっては学習への「準備体操」のような時間だったはずで、学校生活が慌ただしくなったことは間違いない。 同校は「授業の繰り上げで何とかしのいでいる状況」と説明するが、地元紙の下野新聞が5月、この問題を大きく報じて以来、問い合わせが相次いだとのことで「生徒が困っていることもあり、これ以上の取材はお断りしている」と言葉少なだった。