孫を養子縁組すると相続対策になるって本当ですか? 相続財産がそれなりにあるので、少しでも相続税を安くしたいです
「相続対策」の方法の一つとして「養子縁組」を行う、という話を聞かれたことがある方もいるのではないでしょうか。 相続対策が「税金対策」だけではありませんが、多くの方が「節税対策」に関心をお持ちであり、養子縁組が節税につながることがあるのも事実です。一方、節税策としての養子縁組にはデメリットや注意点もあり、不用意に養子縁組を行うことはお勧めできません。 今回は、「相続」と「養子縁組」について考えます。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
養子とは
養子は、届け出によって「法的に親子の関係」を作り出す制度です。 養子縁組には、2種類あります。 「普通養子縁組」……縁組後も実親子関係が存続する 「特別養子縁組」……縁組により実親子関係が終了する 養子縁組と聞くと、実の親との親子関係が消滅する「特別養子縁組」を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、実際には実の親との親子関係が存続したまま「養親」との親子関係も生まれる、「普通養子縁組」のほうが一般的です。
相続対策としての養子縁組のメリット
養子縁組によって得られる、主なメリットは以下のとおりです。 (1)相続人が増えるため、支払う相続税が少なくなる (2)法定相続人以外の人にも財産を渡せる (3)実子がいない場合、相続手続きが単純になる 以下で、一つずつ見ていきましょう。 (1)相続人が増えるため、支払う相続税が少なくなる 相続人が増えることにより、相続税が圧縮できる場合があります。節税策として用いられる、主な理由になります。 例として、図表1のような家族関係の場合を考えます。 <ケース1:相続税対策としての養子縁組> Aには、子B、Cがおり、配偶者はすでに亡くなっています。Aは子Bの子D(Aさんの孫)と養子縁組を交わしました。 Aの財産は以下のとおりです。 ・自宅(土地・建物) 相続税税評価額 1億円 ・金融資産 1億円 ・B、Cそれぞれを受取人とする終身保険 各500万円 この状態で、Aさんが亡くなった場合を考えます。 図表1