松たか子、当て書き脚本に本音吐露「祈るような気持ち」 多部未華子と松坂桃李は歴代最も“しっくり”な間柄に<スロウトレイン>
1月2日(木)に放送される新春スペシャルドラマ「スロウトレイン」(夜9:00-、TBS系)の制作発表会見が12月10日にTBSにて行われ、主演の松たか子、共演の多部未華子、松坂桃李、星野源、チュ・ジョンヒョクが登壇。作品の魅力やお正月のルーティン、2025年の目標などを語った。司会進行は赤荻歩アナウンサー。 【写真】エピソードトークに大爆笑する松たか子&多部未華子&松坂桃李 同作は、脚本・野木亜紀子×演出・土井裕泰による完全オリジナル作品。鎌倉で暮らすきょうだいの姿を通して“家族の在り方”を描く、痛快で、ドキドキして、最後には思いっきり笑顔になれる新時代のホームドラマとなっている。 鎌倉に住む渋谷葉子(松)、都子(多部)、潮(松坂)のきょうだいは、交通事故で両親と祖母を一度に亡くした。月日は経ち、二十三回忌の法事の帰り道、都子が突然「韓国に行く!」と葉子と潮に告げる。この告白をきっかけに、三者三様のきょうだいに、“人生”という旅路の分岐点が訪れ、それまでの“3人での幸せ”から、“それぞれの幸せ”へと向き合っていく。 ■「現代の家族の形、人との形を優しく伝えられるドラマ」 会見冒頭、松は「『スロウトレイン』というとても温かいドラマができたお知らせです。現代の家族の形というか、人との形を優しく伝えられるようなそんなドラマになっているかと思います。お正月のひとときに、ぜひ皆さんにテレビの前でこのお話に耳を傾けていただければなと思っております」とあいさつ。 多部は「とてもぜいたくで幸せな作品に参加させていただきました。1月2日の年明け早々に、皆さんに温かな気持ちになれるホームドラマをお届けできることをとてもうれしく思っております」とコメント。 松坂は「僕自身、姉と妹の女きょうだいに挟まれて育ったので、この潮という役をいただいたときに自分の中では全く違和感がなく、そして何よりこのお二人の弟役ということで、本当に居心地が良く、幸せな時間でした。お正月にぴったりな作品になっていると思います」と呼び掛けた。 少々面倒な気質の作家・百目鬼見を演じた星野は「皆さんおっしゃっていましたけど、幸せな現場というのはこういうことなんだなというぐらい、本当に温かくて居心地が良くて、充実感のある数日を過ごさせていただきました。このすてきな一家に関わる役を演じられたことをとても幸せに思います」と振り返る。 飲食関連の投資会社で働く青年・オ・ユンス役のジョンヒョクは「初めまして。僕はチュ・ジョンヒョクです。よろしくお願いします」と日本語であいさつし、「私自身、日本の作品に出るのは全く初めてで、こういう場所に同席させていただいて、ぜひ日本語で皆さんとお話できればなとずっと考えていました。考えるだけで全くお話ができなくて申し訳ないですが、次の機会には必ずや日本語で会話できるようになれればと思っています。子どもの頃からすごく憧れていた日本の俳優さん、皆さんのことが大好きで、この会見に同席させていただいていること自体がまるで夢みたいです」と語った。 ■多部未華子&松坂桃李、今回の役柄の関係性が「一番しっくり」 脚本の野木は、渋谷葉子という役を松に当て書きしたという。そのことについて、松は「葉子は地に足のついた人だなと思って。私が演じて共感してもらえるだろうかと。割と地に足のついていない役、しっかりしていない役が多いものですから、こんなリアルなちゃんとした人を演じられるかな、とは思いました。初めての俳優さんも多い現場を楽しみにしていましたし、そこにいれば、野木さんがおっしゃった当て書きというところに重なっていくのかなと祈るような気持ちでした」と振り返る。 明るくて自由奔放に見える次女・都子を演じた多部は、「心の中で思っていることは曲げられない芯がある女性の役だったので、共感できるところがすごくあってとっても楽しかったですし、私自身は弟はいないんですけど、弟を雑に、道具のように扱う都子の性格が結構好きでした(笑)」とコメント。これまで何度も共演歴のある松坂に対し、「いろいろな役柄をやってきましたけど、なんか一番しっくりきた」とにやり。 松坂も「しっくりきましたよね。僕もすごく思いました(笑)。どれだけ雑に扱われても居心地が良かったです」と応じ、「姉たちと会話をしていく感じが、僕自身が姉と妹と会話をするときの感覚とちょっと似ていて、なるだけ自分の話題が出ないように話を進めていく感じや、自分の話題が出たときは口数が減って早く話を済まそうとするような感じが、野木さんの本を読んでいるとすごいなと思って。何の違和感も感じませんでした」と野木の描くきょうだい像に強く共感した様子。 星野は「孤独感というものがこの作品のテーマの1つでもあると思うんですけど、人間・百目鬼の持つ孤独感、孤独の捉え方みたいなものは、僕と似ている部分がすごくあるなと思っていて。なので、その佇まいや生き方、どうやってその場にいるかみたいなところは、特に考えなくてもなんとなく“こうじゃないかな”と思う役柄ではあったので、演じていてすごく楽しいというか、居心地が良いという感覚でした」と振り返った。 日本語に初挑戦したジョンヒョクは、「台本をいただいて、1カ月前からお稽古しました。先生の声を録音したものをずっと聞いて、セリフの抑揚やイントネーションを追いかけるようにして練習しました。ただ、1人で練習していたので、いざ相手役がいたときに自分はちゃんと相手役と会話になっているのだろうかとか、ユンスという役がこの言葉を喋るときに、どんな感情で、どんなところに抑揚がついていくのだろうかというところをすごく心配していました」と不安があったことを明かした。 ■「百目鬼先生と葉子さん、ものすごく相性がいいんじゃないかな」 印象に残っているセリフやシーンについて、松坂は「冒頭の3人が江ノ電に乗って座っているシーンが結構好きなんですよね。あの3人のスリーショットから始まって、物語の最後の方でまたスリーショットがあるんですけど、きょうだい感は全然変わらないんですけど、おのおのの表情が変わっている感じが僕はすごく好きですね」とアピール。 松は「百目鬼先生と話しているシーンが好きで、(百目鬼先生は)葉子が話したことを否定しないんですよね。『僕は分かります』みたいな。『普通は分からないんですよ』と言いながら。百目鬼先生と葉子さん、ものすごく相性がいいんじゃないかなと思っていたぐらい」と告白した。 すると星野も、「僕もあのシーンはすごくすごく楽しくて。出来上がって(映像を)見たら楽しいという感じじゃないシーンなんですけど、演じていて本当に楽しくて。僕、松さんとお芝居をご一緒するのは初めてで、それもすごくうれしいことでしたし、野木さんのセリフでやり取りできるのはすごく(うれしかった)」と懐古。 さらに、「全出演者さんの中で多分僕が一番野木さんの作品に出させていただいていると思うんですよ。そういうのもあってもちろん大好きなんですけど、野木さんの作品でいつも思うのは、そのまなざしがすごく好きだなと。今の世の中を見ているまなざしと、こうあってほしいというまなざしと。作品の中にそういうまなざしがふわっと透けて見えるところ、そういう作家性みたいなところが、いつも見ていて、うっと胸がいっぱいになるような、苦しくなるような、いろいろな思いがあって」と続ける。 そして、「今回の脚本を初めて読んだときも、もう(涙が)ボロボロボロボロみたいな。でも、そういう話じゃないんですよ。とっても悲しいことがあるとか、そういうことじゃないんですけど、“うわ、野木さんの脚本だな”というのはすごく思って。とても面白くて、放送がすごく楽しみです」と熱く語った。 ■“年女”の松たか子&多部未華子が2025年の抱負を語る お正月のルーティンについて、松坂は「友人の家族とうちの家族合同で餅つきをやってみんなで食べるというのを数年前からやっています。臼とかレンタルして。楽しいですよ、餅つき。本格的に“よいしょ”って言いながら」と笑顔で明かす。 また、星野が「僕、最近おとそを飲むようになりました。お酒にいろいろ入れて、体が丈夫になるというやつ。すごくおいしいです」と話すと、松も「うちもおとそは飲むんです。実家のおとそはお酒が入っていなくて、みりんがすごく入っていて甘い。我が家は、行っている漢方のところでおとそを配られるので、頂いたから作ろうかなって」とおとそを手作りしていることを明かした。 一方、2025年の抱負について、「私と松さんは年女なので、年女らしいことを。へび年が生かされる生き方をしたい。…なんだろう(笑)」と発言した多部に、松が「どういうこと?この子、何言ってるんだろう(笑)」と困惑する一幕も。 多部は続けて、「年女ですねと言われて、あっ…と思って(笑)。言われたからには何か意識して過ごさなければと思って、何かは分からないですけど、何かをしたい」と宣言。 それを受けた松は、「私は根気強く生きようと思います。いろいろなことを小さなことから根気強くコツコツ続けて。へび年らしいのかちょっと分からないですけど(笑)、そんな感じを目指しています。根気強く物の整理をするとか、根気強く掃除をするとか、根気強い人になります」と誓った。 ジョンヒョクは「2025年は日本語を頑張ります。皆さんが笑っている瞬間に一緒に笑えるように。反応が遅れちゃうので、同時に笑えるように日本語を頑張りたいと思います」と目標を掲げた。 最後に松が「土井さんの素晴らしい温かい演出と、野木さんのきめ細やかな本で成り立っているドラマができました。どこか寂しさと一緒に生きていく、そんなことを私たちに投げかけるようなムードが漂っているような気がしてなりません。寂しさというものと一緒に生きていくべき私たちの課題をちょっとだけ、お正月にふと立ち止まって考えていただけるような、そんな時間になって、そしてまた“生きて生きて生きて”いきたいなと思っております。ぜひ、1人でも多くの方と1月2日のこの時間を一緒に過ごせればなと思っております」と呼び掛け、会見は終了した。