強い!ジャパネットたかた~伸びる家電通販、量販店との差別化戦略
コロナ禍による在宅勤務やステイホームを背景に、ネットを軸に通販の売り上げが伸びています。中でもテレビや冷蔵庫などの家電製品が好調で、家電量販店だけでなく、店舗を持たずに家電を扱う企業の増収も目立ちます。 “三密回避”や“巣ごもり消費”を追い風に躍進する、通販専業2社の取り組みや顧客サービスを紹介します。
消費増税前の駆け込みや巣ごもり消費で家電通販が活発化
昨年から今年にかけて家電の通販が伸びた要因として、まずは消費増税に伴う高額商品の駆け込み消費が挙げられます。今夏開催予定だったオリンピックを見越し、テレビなど映像機器の買い替えも好調でした。 こういった需要が一段落した頃に起こったのがコロナ禍による巣ごもり消費で、ネットを軸に家電製品の通販が活発化しました。ステイホームで利用度が増す冷蔵庫やテレビ、パソコン、クーラーなどの注文が急増していったのです。 通販専門紙が8月にまとめた「通販・EC 2019年度売上高ランキング」を見ると、家電を扱う企業の通販売上高は軒並み増収になっていることがわかります。実店舗を持つ家電量販店ではヨドバシカメラやビックカメラ、上新電機など各社が増収で、上位に名を連ねました。 ただ、これら家電量販店を抑えトップだったのは、テレビショッピングで知られるジャパネットたかたを有するジャパネットホールディングスでした。売上高は前年比2.1%増の2,076億円と伸び、家電以外のジャンルを含むランキング全体でもトップのアマゾン、2位のアスクルに次いで3位となりました。
配送・設置工事、アフターサービスにこだわってきたジャパネット
ジャパネットたかたは消費増税前に大型キャンペーンを実施して駆け込み需要を掴み、冷蔵庫や大型テレビ、マッサージチェアなど高額品の売り上げを伸ばしました。コロナ禍の巣ごもり消費では、エアコンや掃除機、炊飯器などが好調で、今上半期(1~6月)の売上高も前年同期を上回ったとしています。 また、ステイホームで家にいる時間が増えたこともあり、2年前に販売を始めたウォーターサーバーの注文も急速に伸びています。 創業者の父から経営を引き継いだ高田旭人社長が着手したもので、価格だけでなく品質やサービスに徹底的にこだわったそうです。天然水の製造から始まり、水や専用サーバーの配送・設置、メンテナンスなどすべて自社グループで手がけています。 ウォーターサーバーに限らず同社がこだわってきたのが商品の配送・設置工事やアフターサービスで、大きな強みとなっています。 中でもエアコンはここ数年の猛暑に対応するために素早い対応を目指し、取り付け設置工事を担う店舗網の強化に力を入れました。あらかじめ協力店舗を開拓しておき、迅速な設置を求めるユーザーニーズに応じられるようにしたのです。さらにエアコンの配送・設置を担当するスタッフ向けの研修施設を設け、常時サービス品質の向上に取り組んでいます。 家電という高額商品を購入するユーザーが納得しやすいように、事前の不安要素を解消する配慮も細かく施されています。サイトでは商品の注文から設置までの流れをわかりやすく紹介し、ユーザーは工事内容や作業時間、設置場所、取り付け環境などの詳細を家電ごとに確認できます。 地域で検索すれば工事予定日がわかるうえ、工事追加料金や商品の下取り価格、リサイクル料金なども事前にシミュレーションすることが可能です。 電子機器の設定サポートも手がけていて、パソコンはもちろん、スマートフォンもユーザーがその場ですぐ使えるような設定サービスを提供しています。また、訪問レッスン料(税込10,670円)はかかるものの、注文時に指定しておけばアプリやインターネットの使い方などスマホの一通りの活用方法を自宅でレクチャーしてくれます。