【低価格路線でも最高益】“安くて美味しい”サイゼリヤの中でも「これを頼まれたら赤字になる」超お得メニューはなにか? 答えは創業者の言葉にあった
サイゼリヤのメニューはどれもびっくりするぐらい安くて「採算が取れるのだろうか?」と不安になる人もいるかもしれない。その中でも、「これを頼まれたら赤字になってしまう」「ほとんど利益がでない」という、客の立場からすれば超お得なメニューは何だろうか? イトモス研究所所長・小倉健一氏が、サイゼリヤ創業者の言葉を紐解きながら解き明かす。 【写真】実はメニューにも「お値打ち価格です」と明記されているお得メニュー
* * * イタリアンファミリーレストランチェーン「サイゼリヤ」が、低価格路線を維持しつつ驚異的な業績を上げている。2024年8月期の連結決算では、売上高が前年同期比22.5%増の2245億円、経常利益は同96.1%増の155億円という大幅な増収増益を記録し、最高益を達成した。12月に発表された11月の既存店売上高も前年同月比23.0%増と好調であり、市場からの評価も高く、株価は順調に推移している。 サイゼリヤの成功を支えるのは、「安くて美味しい」というシンプルだが強力な経営方針である。同業他社がコスト上昇の影響で値上げを余儀なくされる中、サイゼリヤは価格を維持し、複数のメニューを注文しやすい仕組みを活かして客単価を向上させている。その結果、2023年の客単価は818円となり、2020年の679円から約140円増加した。例えば、ランチ(東京の店舗)では「特製デミグラスハンバーグ」にライスとスープがついて税込600円、「パルマ風スパゲッティ」とスープのセットが税込500円という圧倒的なコストパフォーマンスを実現している。 サイゼリヤの業績は絶好調だが、そんな同社にも利益を生まないと思われる商品がある。10年以上前の話だが、2011年、創業者の正垣泰彦氏は私が所属していた経済誌の取材中の雑談で「グラッパ」と「ドリンクバーのカフェマシンの扉を開けられて牛乳だけ飲まれたら」という場合が赤字になり得ると明かしてくれた。 グラッパはイタリアの蒸留酒で、ブドウの搾りかすを原料に作られたアルコール度数40度の飲み物だ。高コストかつ需要が限定的で、日本では馴染みが薄い。この商品は「サイゼリヤがイタリアンレストランであることを示す象徴的な存在」として提供されていて、売上は振るわなくても置いてあると述べていた。牛乳はそもそもそれだけで飲むことはできず、マシンの扉を開くのはお客には不可能であるから、せいぜいカフェオレなどを飲むのが原価の高い楽しみ方になるということだろう。