岡山で鳥インフル 64万羽殺処分 発生9県に
農水省と岡山県は11日、同県美作市の育雛(いくすう)農場で、鳥インフルエンザの疑似患畜を確認したと発表した。高病原性と確認されれば今季22例目。発生は9県に広がった。県は自衛隊に災害派遣を要請し、飼育されている約64万2000羽の殺処分を始めた。 岡山県は、採卵鶏の飼養羽数が約1038万羽(2019年2月現在)と全国で4番目に多い。隣接する香川、兵庫、広島県内では既に鳥インフルエンザが発生。渡り鳥を通じた感染で注意が必要な、ため池の数もこの3県に続き、全国4位だった。 農水省は同日、鳥インフルエンザ防疫対策本部を開いた。野上浩太郎農相は「まずはまん延防止の観点から、発生農場の防疫措置の完了に向け、全力で協力していきたい」と訴えた。 県によると10日に発生農場が県に通報。簡易検査で陽性が判明し、11日午前4時に高病原性の疑いがあるH5亜型の疑似患畜と判定した。発生農場から半径3キロ圏内の移動制限区域には、農家1戸が約19万羽を飼育。半径3~10キロ圏内の搬出制限区域内は7戸が約77万羽を飼う。 発生農場周辺でも車両の消毒ポイントの設置など防疫措置を行う。全国9県目の発生は、79年ぶりに発生した2003年度以降、10年度と16年度に並んで最多。
ひな飼育農場で発生
県によると1農場の殺処分数は過去最多となり、殺処分完了まで7日ほどかかる見込みだ。中国地方では今季、7日の広島県の初発生から立て続けに起き、関係者は警戒感を強めている。 美作市は県北東部に位置し、兵庫県と鳥取県に接する。県によると、当該農場はひなを採卵できるまで飼育する施設。グループ農場に出荷しており、他の農場へのひな供給の影響はないという。 10日午後12時45分に農場から「67羽の鶏が同じ場所に固まって死んでいる」と通報があり、簡易検査で陽性だった。県は、高病原性の疑いのある鳥インフルエンザ(H5亜型)の疑似患畜と分かった11日午前4時から、殺処分を開始。6カ所に消毒ポイントを設置し、24時間態勢で消毒をする。1日約800人を動員予定だ。 県内での発生は、2007年の高梁市、15年の笠岡市に次ぎ3例目。県養鶏協会の出宮清次事務局長は「近県の香川で発生し、生産者は去年に増して対策をしていた。その中での発生で驚いている」とこぼす。 県内では9日、南西部の矢掛町で、死んだ野鳥から高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認された。県は2回目となる緊急消毒を命じる告示を7日に出していた。169農場への消毒用消石灰248トンの追加配布を急ぐ。
日本農業新聞