契約更改交渉に臨み、来季の目標に「健康第一」と記した楽天藤平（撮影・山田愛斗）

　大出世侍！　楽天藤平尚真投手（26）が29日、仙台市内の球団事務所で契約交渉に臨み、2550万円増の年俸4000万円で更改した。8年目の今季、先発から中継ぎに転向して47試合に登板。勝ちパターンを担い、0勝1敗、1セーブ、20ホールド、防御率1・75の好成績を残した。侍ジャパンにも今秋初選出。プレミア12では奪三振ショーを演じ、注目を浴びた。守護神候補に名前が挙がる来季は、50試合登板に照準。26年WBC出場を目指し、さらなる飛躍を遂げる。 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　マウンド上の鬼気迫る表情は、そこにはない。金色のネクタイでびしっと決めた藤平の穏やかな顔つきが、1年の充実感を物語っていた。「本当に満足いく契約をしてもらえた」。2550万円増の年俸4000万円で更改。今オフの昇給額は酒居の2400万円増がトップだったが、それを上回る金額で、チーム1の出世頭となった。 　崖っぷちに立たされていた。16年ドラフト1位で横浜（神奈川）から入団。将来のエース候補として大きな期待をかけられたが、昨季までのプロ7年で、わずか10勝にとどまっていた。「本当にここでしっかりやらないと、いよいよ野球人生が本当に終わっちゃうかもしれない」。不退転の覚悟で今季から中継ぎに転向。最速156キロの直球とフォークを武器にチームを何度も救ってきた。 　守護神・則本は27日、契約更改後の会見で「特に（鈴木）翔天と藤平には負けたくない」と来季の抑えを争うライバルに2人を挙げた。藤平は「ノリさん（則本）に後ろを競うメンバーとして僕と翔天さんを挙げてもらって、本当にうれしい。そういうチャンスがあるなら僕も狙っていきたい」と、受けて立つ構えだ。 　今秋は侍ジャパンに初選出され、プレミア12を戦った。6試合で、6回を無失点、12奪三振と堂々たる投球を見せた。他球団の選手との交流も刺激的で「大勢は、ほんとに楽天では見たことのないようなメンタルの強さをしている」と学びも多かった。同大会を、“ラスト侍”にするつもりはない。26年のWBCにも意欲を示し「次こそは世界一を目指したい」。覚醒したドクターKが、天下統一を虎視眈々（たんたん）と狙う。【山田愛斗】