介護士やケアマネジャーなどお世話になった人にも遺産を分けたい。遺言書を作成するとき家族の同意は必要?
現代では終活という言葉が生まれ、人生を悔いのないものとするために、遺産の配分や葬儀の詳細などを前もって決める人が増えています。 中には、遺言書を書きたいものの、その効力や書き方が分からないという人もいるかもしれません。 この記事では、相続や遺言書についての法的根拠や仕組み、タイトルのような、お世話になった人にも遺産を分けたいといった事例を紹介します。
そもそも他人に遺産を譲れる?
通常、相続人となり得る人は、死亡した被相続人の子や配偶者、親族などです。しかし、遺言書があれば、介護士やケアマネジャーなどの他人にも遺産を譲ることができます。 この行為は遺贈といい、相手が人であれば誰に対してでも行えます。そのため、ペットなどには遺贈できない一方、法的な人である法人に対しての遺贈は可能です。 今回のケースであれば、お世話になった介護士やケアマネジャーが所属する老人ホームなどに遺贈することもできます。
他人に遺産を譲る場合の注意
遺贈は通常の相続人ではない他人に遺産を譲る以上、注意しなければならない点が2つあります。 1つは、相続人の最低限の遺産の取り分である遺留分制度です。 相続人は被相続人との続柄によって、相続できる順番や取り分、そして遺留分が決まっています。例えば、被相続人の子は第一順位で相続分は2分の1、遺留分は本来相続できた財産の2分の1です。 遺贈によって相続した財産が遺留分未満となった相続人には、遺留分侵害額請求権という権利があるため、これを行使すれば遺留分の遺産を受け取ることができます。相続人の人数などに気をつけて、遺留分を侵害しない遺贈の方法を考えておきましょう。 もう1つは、遺贈される人が遺贈を望まない場合です。 今回のケースでは、介護士やケアマネジャー自身が遺贈を望まなかったり、会社規定で受け取ることができなかったり、といった可能性が考えられます。遺産が不動産などの場合、どうしてよいか分からない可能性もあるでしょう。 そのような場合、遺贈は放棄することもできるため、良かれと思って遺贈したものが裏目に出るかもしれません。遺贈を考える場合は、相手の意思を確認しておきましょう。