「自宅療養者」を置き去りにしない...京都府で民間医師らの『訪問診療チーム』が患者対応
入院できない事情のある患者宅も訪問
宮本医師らは防護服を脱いで消毒してから再び車に。次に向かったのが認知症の患者の自宅です。事前情報だと、病院では徘徊したり点滴を受け入れなかったりしたために自宅療養になったといいますが…。 (訪問診療を行う宮本雄気医師) 「力抜いておいていいですよ。お腹のところから点滴させてもらいますよ。よろしい?お父さん、事前情報と全然違う。おうちにいるとやっぱり受け入れるようになるんですよね。」
診療後、宮本医師は次のように話しました。 (宮本雄気医師) 「『点滴を受けていいよ』と。自分自身で言葉を発せられる方ではないですが、にこって笑ってうなずかれたので。あのままずっと続いていると、脱水が進んでいってより悪循環になっていくところを、こうやってできたのは非常によかったと思います。」 今回のケース以外にも、家族の介護で自宅から離れられないなど、実際は入院が必要なのに入院できない人は少なくないといいます。
高齢患者にメリットがある訪問診療
今回の制度を行政とともに立ち上げた京都府コントロールセンターの山畑佳篤医師は、病床の確保だけではなく、高齢患者にとってもメリットがあると話します。 (山畑佳篤医師) 「コロナにかかわらず、高齢の方は入院すると明らかに体のいろんな機能が落ちるんです。しなくていい入院はしないほうが高齢者のためでもあるんですね。」
訪問診療チームが戻って来たのは午後7時すぎでした。この後は泊まり込みで患者の容体急変に備えます。 (宮本雄気医師) 「治療の選択肢が増えるということは、患者さんにとってもいいことですし、行政にとってもいいことだと思っています。できれば京都全体、もっと言うと全国にこういう動きが広まればいいなと思っています。」