中小企業の冬季ボーナス、大阪平均は28万7604円
大阪シティ信用金庫(大阪市)は大阪府内の取引先企業1113社を対象に「2020年冬季ボーナス支給」について聞き取り調査を実施し、1016社から回答を得た。 【表で見る】正社員1人あたりのボーナス平均支給予定額 その結果、コロナ禍に伴う業績悪化により、大阪の中小企業における今冬のボーナスは支給企業が大幅に減少したことが分かった。 冬季ボーナスを支給する企業は全体の54.0%で、前年冬に比べて11.2ポイント減少。リーマンショック後の9.1ポイントを上回り、1998年の本調査開始以来、最大の減少幅となった。 一方、ボーナスを支給しない企業は46.0%で、前年冬に比べて11.2ポイント増加。そのうち、「まったく支給なし」とする企業は14.9%(同5.3 ポイント増)、「ボーナスは支給できないが、その代わりに少額の手当を出す」と答えた企業が31.1%(同5.9ポイント増)だった。 業種別で見ると、前年の冬に比べて全業種でボーナスを支給する企業の割合が減少。最も支給企業の割合が低かった業種は小売業で、29.5%と3割に満たなかった。また、建設業(15.5ポイント減)と製造業(11.8ポイント減)が過去最大の減少率となったほか、卸売業も10.5ポイント減と2桁の減少となった。 従業者規模別で見ると、支給企業の割合は50人以上が83.6%だった一方、20人未満は48.7%と半数を割り込んだ。小規模の事業者は、コロナ禍に伴う業績低迷がもろにボーナスに反映される非常に厳しい結果となった。
正社員1人あたりの冬季ボーナス平均支給予定額は?
正社員1人あたりの冬季ボーナス平均支給予定額は28万7604円と、前年冬に比べて1万35円減少(同3.4%減)。支給額が減少する企業の要因は、「業績低迷」が87.3%と圧倒的だった。支給額が増加する企業においても、増加要因は「業績が好調なため」(53.7%)よりも「従業員のモチベーションを向上させるため(士気高揚)」(68.3%)との回答が上回った。 業種別で見ると、平均支給予定額が最も多かったのはサービス業で34万4602円だった。前年の冬との比較でも、サービス業が唯一支給額が平均3万5411円と増額。一方、最も減額したのは運輸業で、9万958円と大幅な減額となった。 ボーナスの支給事情については、「適正範囲内で支給する」と答えた企業が72.7%と7割を超えた。一方で、「多少無理をして支給する」との企業が27.3%と、前年冬と比べ 12.7ポイントの大幅増となった。その中でも、運輸業(32.5%)と製造業(32.1%)の回答が3割を超えている。従業員の士気高揚や雇用確保のために、ボーナスの支給を判断したとみられる。コロナ収束の見通しが立たず、先行きに不安があるなかでも、ボーナスを支給せざるを得ない企業の苦しさが見える結果となった。
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