九州初のベストビレッジに 若手職員が尽力 観光振興に期待 天城町
持続可能な開発目標(SDGs)や観光を通じた自然・文化の保全に取り組む地域が認定される「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」に鹿児島県の天城町が選ばれた。九州では初の認定。22日、同町役場で報告会見を開いた森田弘光町長は「若手職員の尽力で徳之島の豊かな自然や文化が世界に評価された。奄美トレイルなどを活用してインバウンド増加を図りたい」と今後の観光振興に期待した。 観光を通じた豊かな社会の実現と国家間の相互理解の促進を理念に160カ国が加盟する国連世界観光機関(UN Tourism)が2021年から始めた取り組み。▽人口1万5千人以下▽農林水産業など第1次産業がある▽地域独自の価値観やライフスタイルの保全に取り組んでいる―などの条件があり、今年までに141地域が認定されている 昨年11月に九州運輸局を通じて同制度を知り、商工水産観光課を中心に役場の若手職員らがプロジェクトチームを組んで認定実現を目指した。チームは観光庁からの推薦が決まった今年3月以降に申請書の英語版制作に着手。11月14日にコロンビアのカルタヘナで開催された同機関の総会でベスト・ツーリズム・ビレッジに認定された。 今年は国内から天城町と山形県西川町が認定され、国内での認定は計8カ所となった。国内の認定地域は北海道美瑛町、宮城県奥松島地区、長野県白馬村、岐阜県白川村など有名な観光地が名を連ねている。 認定により、同機関のロゴマークの使用が認められるほか、認定地同士の交流や情報共有などで地域の魅力や国際的な認知度の向上が期待できる。天城町はインバウンド増加などの効果に期待した上で、▽ホームページや観光案内板の多言語化▽トイレなどの施設整備―などを今後の課題として挙げた。 森田町長は「英語版の申請書を完成させ、国内の推薦を得た時点で達成感があった。まさか世界で認められるとは」と若手職員らの快挙に目を細め、国内認定地が参加するシンポジウム(25~26日、白川村)への参加に向けて「交流や情報共有で観光先進地のノウハウを持ち帰りたい」と意欲を語った。 申請書の翻訳を担当した町教育委員会総務課の叶幸代さん(38)は「〝結い〟の概念や闘牛について英語で表現するのに苦労はしたが、私は翻訳しただけ。基になる素晴らしい申請書をつくったチームのおかげ。皆で目標を達成できてうれしい」と笑顔を見せた。