【女子ボクシング】多田悦子、衝撃のフィニッシュで再戦に決着
3日、東京・後楽園ホールで行われたWBO女子世界ミニマム級王座決定戦10回戦は、多田悦子(真正)が宮尾綾香(ワタナベ)に9回8秒TKO勝ちした。多田は4度目の世界同級王座獲得を果たし、宮尾は2階級制覇に失敗した。 写真=4度目の世界ベルトを巻いた多田
1月のドローを受けた再戦は、衝撃的なエンディングを迎えた。9回の開始ゴングが鳴ってすぐ、宮尾のアゴを襲った多田の左ショート。ヒザからばったりと崩れ落ち、うつ伏せに眠った宮尾を見て、レフェリーはノーカウントで試合を停止した。多田が心配そうに見つめる中、宮尾はストレッチャーに乗せられてリングを降りた。 約10ヵ月ぶりにリングで向かい合った両者は、今度こそ白黒つけようと早い仕掛けで打ち合った。宮尾は右、サウスポーの多田は左と、互いに正面からダイレクトにストレートを繰り出す。バッティングも頻発し、初回に多田、4回には宮尾が休憩時間を与えられた。 前半戦は宮尾の右もよくヒットしていたが、リズム、タイミングを変えて多彩に攻め込む多田が、終盤から攻勢を強めていった。7回には連打で宮尾をロープに詰める。効かせたと確信した多田は「9回に宮尾さんが出てくるのはわかっていた」。迎え撃った左の短い一撃で、想像を超えるフィニッシュが生まれた。
「ドンピシャのタイミング。練習してきたパンチです。ボクシングは力じゃなく、スピードとタイミング。それを証明できたのがうれしい」と多田。「1試合ごとにモチベーションを上げるのが難しくなってきている」という39歳は、宮尾に決着をつけた今、4団体制覇に最後の情熱を燃やす。
ボクシング・マガジン編集部