永遠にのこる化学物質「PFAS」は光でぶっ壊せ
実用化には課題も
どちらの方法も、まだ実用化レベルには至っていないそう。Kang氏とMiyake氏もともにそれぞれの触媒が水中で溶解した状態にあるPFASと効率よく反応できるようにするのが第一歩と認めています。 Miyake氏は 現実的な見方をすると、まだ多くの課題があります。しかし、LEDや太陽光を利用した効率的なシステムは、PFASを低コストで除去するための方法として有望です。 と述べています。期待したいですね。 研究に参加していないノースウェスト大学の化学者であるWill Dichtel氏は、これらの研究結果が大きな前進であると認めています。 ただ、研究に用いられた光触媒については、有望ではあるものの現時点ではまだ高価な化学添加物なしでは機能しないため、すぐに使える技術ではないと指摘。さらに、より速く反応するように開発を進める必要があるそう。 同じく研究に参加していないオクラホマ州立大学の有機化学者Jimmie Weaver氏は、2本の論文はPFAS問題の解決に重要な洞察をもたらすとし、次のようにコメントしています。 これらの論文は、私たちが考えているほど、炭素-フッ素結合の反応性が低くないことを示唆しています。 一部のPFAS化合物は、人間にとって有毒とされ、健康を損ねる量や濃度はまだわかっていませんが、発育障害や免疫系、血清中コレステロール、肝臓、生殖機能、腎臓がん、精巣がん、甲状腺ホルモンなどへの影響が指摘されており、特にPFOSやPFOAは世界中で規制が進んでいます。 浄水フィルタなどで大部分のPFASを取り除くことも可能とはいえ、個人にできる対策には限界があります。規制の強化とともに、今回の研究結果が示すような、より人体と環境に安全かつ低コストで、エネルギー消費が少ない解決方法の実用化が待たれます。 Source: Zhang et al. 2024 / Nature, Liu et al. 2024 / Nature Reference: Science, Chemical & Engineering News / American Chemical Society, 東京都保健医療局
Kenji P. Miyajima