イギリスの不敗ヘビー級対決。世界最大のホープ、デュボアがKO負け
28日、イギリス・ロンドンはウェストミンスターのチャーチハウスで行われた、イギリス・ヘビー級の不敗対決は、圧倒的な不利を伝えられたリオ五輪銀メダリストのジョー・ジョイスが、若きスーパースター候補のダニエル・デュボアを10回36秒でKOする波乱となった。勝ったジョイスはヨーロッパ、イギリス、英連邦の3つのベルトを一気に獲得した。 写真=レフェリーのカウントアウトを待ってデュボアは立ち上がった 写真◎ゲッティ イメージズ
勝ったほうが世界王座に一目散。誰もがそう考えた戦いだった。ジョイスには巨体と強烈なプレッシャーがあり、デュボアにはスピードと爆破力の両方が備わっている。そして、多くの関係者、ファンは23歳で15戦全勝14KOのデュボアが、11戦全勝10KOの35歳、ジョイスをノックアウトすると考えていた。だが、ジョイスは誰もが想像していたよりもずっとタフだった。さらに正確な左ジャブが機能し続けた。 立ち上がりから、ジョイスのそのジャブが光っていた。大半はヒジの屈伸で打ち込む軽いものに見えても、198センチ、117キロの巨体が生み出す破壊力は相当なものだったのだろう。4回にはデュボアの左目が腫れ始める。 196センチ、110キロにして速い身のこなしを持つデュボアも負けてはいない。3回から攻撃のテンポを上げ、5回にはジョイスのジャブに右クロスを合わせてペースを奪った。ただし、ジョイスはその大きな体を巨体を寄せ、あるいはのしかかり、デュボアの体力が消耗するのを待った。プロのキャリアこそ11戦だが、アマチュアで数百ラウンドも戦った経験をフル活用したのだ。8回にはデュボアの左目がほぼふさがってしまう。その攻撃もどんどん雑になっていった。 迎えた10回、結末はあっけない。ジョイスのジャブがまともにヒットすると、デュボアは一瞬、左目を押さえてからしゃがみ込む。そして右ひざをついたまま、レフェリーのイアン・ジョン・ルイスがカウントをテンまで数え上げるのを待って、それから立ち上がった。
勝ったジョイスはWBO王座挑戦の可能性があるという。デュボアは2ジャッジのポイントでリードしていながら、最後は『試合を投げる』形の敗北で、非難の声も聞こえてくる。「(ジョイスの)最後のパンチで一時的に視力を失ってしまった」とデュボアは言った後、「これから病院に行く。けがの程度はわからないが、きっと帰ってくる」と話した。若いだけに、負傷が深刻でなければいい経験にもなったはずだが、トップへの回帰には時間がかかるという見方が多い。 写真◎ゲッティ イメージズ
ボクシング・マガジン編集部