他社にパクられた!?「JAL新国際線フラッグシップ」の新客室に“そっくり”エアラインとは? なぜここまで似ちゃったのか
ともに2024年デビュー
インドの航空会社エア・インディアが2024年に就航させた、エアバスA350-900は同社にとって期待の新鋭機です。この機は客室も刷新が図られましたが、これが航空ファンのあいだで話題にのぼることがあります。それは、JAL(日本航空)が同年に新たな国際線の旗艦機として就航させた「エアバスA350-1000」の客室にかなり似ている――というものです。 【写真】似すぎ…?これが「JALとエア・インディアのA350の客室」比較です エア・インディアは現在、インドの大財閥タタ・グループの下でブランドイメージの再構築に取り組み、A350-900もこれまでの使用色である赤を基調に金色と紫色を加えた新しい塗装をまとっています。 2024年7月の英国ファンボロー航空ショーでは、エア・インディアのA350-900「VT-JRH」が展示されました。機内に入ると、座席はビジネス、プレミアム・エコノミー、エコノミーの3クラス構成。JALのA350-1000のように、ファーストクラスの設定はありません。 ビジネスクラスはカラーリングこそ異なるものの、中央列の手荷物預け棚が撤廃されていること、座席横のサイドテーブルやパーテーションの設置の仕方、シートの形状、各席にシューズロッカーがあることや、中央席に可動式の仕切り板があることなどの共通点に加え、全体的に客室を囲う壁などで高級感を醸し出そうとする雰囲気がJALのA350-1000にかなり似ています。 次に進んだプレエコはさほどでもなかったのですが、エコノミーへ足を踏み入れると、思わず心の中で呟いたのは「これ、JAL?」。なぜ似ているか、まず思い当たったのは、座席の配色がどちらも赤色と濃い茶色と同系色を基調としていることでした。 日本ではJALが国際線の主力機にA350-1000を導入したことが話題となり多くのメディアで客室が取り上げられたため、余計にJALを連想してしまう、もあったのでしょう。
なぜここまで似ちゃったのか?
配色はエア・インディアの方が明るかったものの、「まさかパクリでは」の疑念が心の中から去りません。機内にいたエア・インディアの社員に「JALの客室に似た感じがしますが」と伝えたところ、「ホントですか」と驚いていました。 両社の客室が似てしまったのは使用色によるためと思われますが、JALもエア・インディアも機体の塗装はこれまで赤色を基調にしてきたことから、内装にも同じ色を使うのはごく一般的なことでしょう。しかも、赤色はインパクトがあるために、余計に印象付けられてしまうのかもしれません。 また、ファーストクラスなどのごく一部の座席を除いて、旅客機の客席はいくつかベースデザインと標準仕様があり、それをベースに自社が採用したい機能を実装するか検討し、セミオーダーのような形で客席仕様を策定するのが一般的です。ほぼ同時期にデビューする同系統の機種となれば、仕様がなおさら「カブる」可能性はおおいに考えられるというわけです。 ちなみに、JALのA350-1000のビジネスはルックスこそエア・インディアと似通っているものの、機能的には特徴を持った座席です。世界初搭載となる、頭部のヘッドレスト内蔵スピーカーから音を聴く機能を実装しているほか、スマートフォンのワイヤレス充電にも対応しています。 エア・インディアはこのA350-900を日本路線に投入するのか、展示機の中で聞いたところ現在は予定にないそうです。けれども将来、日本路線に就航するのなら、JALと「似たもの」対決が起きるかもしれません。
島田 駿(航空・旅行ライター)