《美食バカ一代》高価で美味いものがタダで食える調査員にジェラシー【ミシュラン完全制覇への道】
「世界のミシュラン三ツ星レストランをほぼほぼ食べ尽くした男の過剰なグルメ紀行」の著者である藤山氏は、とある疑問点を投げだした。『ミシュランガイド』の星の数は一体、誰が決めているのか? そして数多くのレストランの中から、本当に美味しい店を探りぬき、辛辣な評決を行なう者は、いかにして舌をトレーニングしているのか? 多くの人が聞けなくても聞けなかった疑問点がいま、白日のもとへ明らかになる? この記事の写真はこちら ■この世でもっとも役得なお仕事 では新人調査員として採用された者は、どんな訓練を受けるのか。 当然、研修を受ける。藤山が極秘に調べたところによると、期間は約半年くらい。先輩の調査員といっしょに、あらゆる店に行き、さまざまな料理を味わいながら、その感想をレポートにまとめ、舌を訓練する。 まあ、これで給料がもらえるなら、いい仕事だ。ただ、毎日、フランス料理ばかりだと、さすがの藤山もギブアップするかもしれない。 また、講義では、料理だけでない部分、サービス度や快適度、席数のチェック、室内に男女別々のトイレの有無など、調査項目の審査法を学ぶ。 この約6か月の訓練によって、適性が試され、調査員に向かないと判断された者は、別の部署、販売部や広告部、総務部、経理部などに回される。 『ミシュランガイド』は、出版社と同じだから、ガイドブック内の広告収入(『2017北海道特別版』にはJALやJCB、『ぐるなび』などの広告も載っている)も大事な要素になる。 「星は決して売らないが、ページは喜んで売る」 これが、『ミシュランガイド』の方針のようだ。広告が入れば入るほど、制作費が助かるからだ。この頃、たしかに、本家の『フランス版』にも広告が入るようになった。『2017フランス版』には、BMW、サン・ぺルグリノなどの広告が掲載されている。 日本の雑誌や新聞に、これまでなら載っていなかったような、ちょっと怪しい企業広告が入るようになったり、自社広告が入ったら、出版社や新聞社の経営が危ぶまれるのと同じ理屈だ。