「紀州のドン・ファン」元妻無罪判決に若狭勝氏「裁判員裁判で『疑わしきは被告人の利益』にのっとった判決は勇気あるもの」
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助さん(当時77)に覚醒剤を飲ませて殺害したとして、殺人罪などに問われた元妻・須藤早貴被告(28)の裁判員裁判で12日、和歌山地裁は「無罪」を言い渡した。検察側の求刑は無期懲役だった。 * * * 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、今回の判決について「無罪はあると思っていたんですが、可能性が高いとは思っていなかった」と所感を述べた。 若狭氏は、今回は裁判員裁判だったことに注目。「市民の感覚を生かすことを目的に始まったんですが、最近は形骸化の傾向があり、ややもすると有罪判決を出すためのシステムになっていた」と常日頃から危惧していたことを明かし、「裁判員裁判で『疑わしきは被告人の利益』という刑事裁判の原則にしっかりのっとった判決が出たのは、しっかりとした勇気あるものだった」と評価した。 一方で「検察側が無期懲役を求刑していたということは、相当な自信があったはず」と指摘。控訴は確実と予測した。二審については「これ以上の証拠集めは難しい」とした上で、「(どのように覚醒剤を摂取させたのかという)接触方法や、覚醒剤の入手経路など、腑(ふ)に落ちない部分があまりに多い。検察側がどれだけ解明できるかが焦点になる」と争点を解説した。
報知新聞社