手術、レーザー治療…「緑内障」目薬以外の最新治療を医師が解説
症状に気づかないまま進行する緑内障。気づいたときには末期ということもあるのが怖いところです。 お話を伺ったのは… 安達 京先生(アイ・ローズクリニック院長)●川崎医科大学医学部卒。東京大学附属病院勤務、アメリカ・シェーファー緑内障研究財団出張留学を経て、2004年に虎ノ門にアイ・ローズクリニック開院。大阪アダチ眼科院院長を兼任。 撮影=渡邉宏基 イラスト=きくちりえ(Softdesign LLP) 『婦人画報』2021年1月号より
治療の目的は眼圧を下げること。目薬以外の選択肢も増えています
緑内障によって視神経が障害されて5年、10年とたつと、視野に欠けが生じてきます。厄介なのは、視野の一部が欠けても両目で見ると片方の目が補うため、初期ではほとんど視野の欠損に気づかないこと。また、一度欠けた視野は治療でもとに戻すことはできず、治療は進行を止めることを目的に行われます。だからこそ、たとえ症状を感じなくても、50歳を過ぎたら1年に1度は眼科で検査を受けることが大切です。 「緑内障は、眼圧が高くなることで視神経を圧迫し、視神経が障害されます。眼圧とは、角膜と水晶体の間を満たす房水という液体の水圧を表す数値。通常なら房水の量は一定に保たれていますが、なんらかの原因で排出がうまくいかなくなり、眼圧が上がるのです。房水の排出が滞る原因としては、排出口が目詰まりを起こすもの(開放隅角緑内障・かいほうぐうかくりょくないしょう)と、排出口が狭くなるもの(閉塞隅角緑内障・へいそくぐうかくりょくないしょう)があり、そのタイプによって治療法が異なります」と安達京先生。 開放隅角緑内障の場合、まずは眼圧を下げる点眼薬を使います。「働きの異なる点眼薬が数多くあり、眼圧の下がり具合を見ながら薬を替えたり数種類を組み合わせて使用します。最近は、隅角にレーザーを照射し房水の排出をよくするSLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)の治療効果が注目され、治療の初期から行うことも珍しくありません。かつてはリスクが高かった手術療法も、技術の進化とともに安全性の高い手術の選択肢が増えてきています」(安達先生)