医療費をキャッシュレス化 山大生が開発、決済アプリ「玉円ペイ」【宇部】
山口大医学部医学科4年の藤井佑機さん(32)が起業した「アガティカ」が、医療機関で使える2次元コード決済アプリ「玉円(ぎょくえん)ペイ」を開発し、リリースした。地域振興のため、宇部市を中心とした店舗などでの支払いに利用できる「地域ポイント」制度を導入する計画で、同大の学生が起業した「ウベカレ」(平井貴大代表)と共同で進めている。 藤井さんは栃木県の出身で、2022年に同大医学部に学士編入し、同年に起業した。前職でエンジニアとして会計ソフトの開発や運営に携わっていた経験を生かし、医療機関向けのサービスの開発に取り組んだ。 アプリのポイントの単位は「玉」。現時点の機能は2次元コード決済による支払いのみだが、来年以降に医療機関の検索、予約、問診票の記入、自動後払いなどの機能を実装する。 藤井さんによると、医療機関でのキャッシュレス化やDX(デジタルトランスフォーメーション)は、決済手数料の問題などで他分野に比べて進んでおらず、医療機関に特化した決済アプリも、国内にほとんど例がないという。 アプリでは、医療機関向けの基本決済手数料を一カ月の決済額8万円まで0%に抑えることなどで、この問題に対処。市内だけでなく、東京都内の医療機関からも問い合わせが来ており、導入の方向で話が進んでいる。 「地域ポイント」制度は「玉」とは別に同アプリ上で利用できるようにする。ウベカレが携わる地域活動に参加した学生への謝礼などとして付与する計画で、1ポイントが1円に相当。来年4月の正式スタートを予定しており、参加店舗はこれから開拓していく。 藤井さんは「玉円ポイントで全国の医療の課題解決、地域ポイントで地域の活性化に貢献したい。地方の企業がこのような技術を発信することに意義がある」と意気込む。 ウベカレで地域ポイントを担当する村田照真共同代表は「市内では地域活動のコミュニティーが活性化してきているが、これを経済的な面から盛り上げるために地域ポイントを役立てたい」と話した。