"性的暴行"問われた元検事正の弁護人 裁判の証拠めぐり「職権濫用や秘密漏洩」疑いで地検に調査要望
元大阪地検検事正が酒に酔った部下の女性検事に性的暴行を加えた罪に問われている裁判で、元検事正の弁護人が13日、地検に調査を要望したことを明かしました。裁判で開示された証拠をめぐり、女性が職権濫用や秘密の漏洩をしている疑いがあると主張しています。 起訴状などによりますと、大阪地検の検事正を務めていた弁護士の北川健太郎被告(65)は、検事正在任中の2018年、大阪市内の官舎で酒に酔って抵抗ができない状態の当時の部下の女性検事に対し、性的暴行を加えた罪に問われています。 今年10月に大阪地裁で始まった裁判で、北川被告は当初「公訴事実を認め、争うことはしない」とした上で「被害者に深刻な被害を与え、深く反省し謝罪したい」と謝罪していましたが、今月10日、「同意があったと思っていた」などとして一転無罪を主張する方針を弁護人が明らかにしました。 これに対し、被害を訴える女性は会見を開き「(北川被告の無罪主張に)絶句し泣き崩れた」とした上で「被告人がどのように主張しようが真実は一つ。検察トップが犯した重大な罪、被害者を傷つけ続ける無反省で無神経な言動に見合った長期の実刑判決を求める」と話していました。 一方、この事件をめぐって北川被告の弁護人が13日、報道陣の取材に応じ、大阪地検に対し調査を求める要望書を提出したことを明らかにしました。 弁護人は「裁判で開示された女性作成の陳述書に、検事だった際の北川被告名義で作成された別の性犯罪に関する刑事裁判記録が添付されていて、関係者の氏名や住所などがそのまま記載されている」と述べました。この記録について「女性が検察官の職権で入手し個人として被害申告をする事件の証拠として利用した『職権濫用の疑い』がある」とし、また「関係者らのプライバシー情報を弁護人などが閲覧できる状態であることから『秘密漏洩の疑い』がある」として、地検に調査を求める要望書を提出したことを明かしました。 弁護人は「検察官は公益の代表者であり重大な職責を負っていて、その職責を個人の利益のために利用したとすれば由々しい事態だ」と訴えています。 また、事務所には誹謗中傷や家族に危害を加えることをほのめかすような脅迫の電話が寄せられているとして、警察に相談していることを明かし、「弁護活動の妨害であり、軽い気持ちであっても罪になると分かってもらいたい」と話しました。 一方、被害を訴える女性の代理人は「問題とされている書類は、被害者が被害者として検察庁から正式に開示を受けたものであって、検事としての職権を利用して入手したものではありません。十分な確認もせず、あたかも被害者が職権を乱用したかのように主張される事は被害者の名誉を著しく、傷つけ愚弄するものであり、代理人として憤りを感じます」とコメントしています。 大阪地検は「今日のところはコメントするところはない」としています。
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