【このニュースって何?】兵庫県知事選でSNSが議論に → SNSのよくないところって何?
SNSを使うことでどんな問題が起こるのか?
SNSを使う人が陥りがちな問題点のひとつとして挙げられるのが、「フィルターバブル」とよばれるものです。フィルターとは、流れるものをこしたりふるい分けたりするもので、バブルとは泡のことです。つまり、SNSにはユーザーが見たい情報だけをふるい分けて届ける機能があり、ユーザーは泡の中で見たい情報だけを摂取して生きているような状態になるということを表しています。自分が好まない考えに接することはなくなり、自分が好む考え方や価値観がどんどん強固になっていくというわけです。 似た言葉に「エコーチェンバー」があります。エコーチェンバーはもともと音が反響する閉じた小部屋(残響室)のことで、この部屋では声を出すとやまびこのように増幅してかえってきます。SNSでは、残響室にいるように自分に似た考えの声ばかりが大量に返ってくるため、自分の意見や価値観が絶対的なものと思うようになりがちだということを表しています。 こうした閉じた情報環境にいる人が増えると、社会には問題が起こります。ひとつは、「分断」といわれるものです。アメリカ大統領選をみると、熱狂的なトランプ支持者と民主党支持者との間には、簡単には埋められそうにない溝を感じます。その溝はどんどん深まっていて、それにはSNSの影響があると考えられています。アメリカ大統領選ほどではありませんが、今回の兵庫県知事選でも斎藤氏をめぐる支持者と不支持者の間にはこれまでの日本の知事選ではあまり見られなかった分断を感じたという声がありました。 もうひとつの問題は、「フェイクニュース」を信じやすくなるということです。フェイクニュースとは、事実に基づかないニュースのことです。SNSで流れる情報の中には、発信元が誘導する意図を持ったフェイクニュースや単におもしろがるフェイクニュースがあります。有名なのは、2016年のアメリカ大統領選で流れた「ローマ教皇がトランプ支持を表明」というフェイクニュースや熊本地震の際に「ライオンが動物園から逃げ出した」という写真付きのフェイクニュースなどです。また、「世界は影の政府が支配している」といった「陰謀論」もフェイクニュースの一種でしょう。マスメディアを含めた様々な情報と接していると、「常識に照らして変だな」とか「マスメディアが報じていないのは変だな」とか思うことができるのでしょうが、SNSの閉じた情報環境にいるとそのまま受け入れてしまうことがあるといわれます。